世界で最も有名な覆面DJ「マシュメロ」をブランド化させた敏腕マネージャー

意図的に噂や情報をリーク マシュメロがブレイクするまで

マシュメロが2016年にデビューしたとき、二人とも何も期待していなかった。最初のギグが決まるまで1年間かかり、出演したのがHARD Day of the Deadで、このフェスは彼らが絶対に下げないと決めていた3万ドルの出演料を承諾してくれたのだ。「俺たちは金はなかったけど、最初に決めたことを守り抜いたんだ。最初に決めた出演料を払ってもらえる機会が来るまで待ったのさ」とシャリジ。

このフェスの出演後の彼らは相変わらず金欠状態が続いたが、マシュメロの匿名性がエレクトロニック・ミュージック好きの心を刺激した。そして、彼らが「変装したセレブがマシュメロと名乗っているらしい」というゴシップを広め始めたのだった。

その頃を思い出して、「みんな『一人の人間がやるにしちゃ音楽が良すぎる』と言っていたね。俺たちの思うつぼだったよ。連中にマシュメロが誰か絶対に明かさなかったからね。クレイグスリストで小道具を作っている男を見つけて、そいつに400ドルでマシュメロ・ヘルメットを作ってもらったんだ。ストッキングとスキーマスクは使えないってなったから。2週間後、その男はヨガマットを持って現れて、そのマットでヘルメットを作って、目をくり抜いた」と、シャリジが語った。

シャリジは周囲の懐疑的な人々の反応を覚えていて、その中にはマシュメロの母親の「私の息子に本当にそれを被らせるつもりなの?」も含まれている。しかし、シャリジはビルボード誌にHARDフェスの舞台裏で撮ったとされる「マシュメロの初公開写真」を意図的にリークし、人々の噂話に油を注いだのである。「これがネット上で急速に拡散した」とシャリジ。そして、あっという間に1万5000人収容の会場で行われたマシュメロのギグはソールドアウトとなった。今日、マシュメロには4000万人を超えるSpotifyリスナーがいる。最もストリーミングされているのはバスティルとのコラボ曲「ハピア feat. バスティル」で、すでに10億回を超えている。そこにセレーナ・ゴメスとの曲、カリードとの曲、アン・マリーとの曲が僅差で追随するのだ。さらにYouTube界でのマシュメロはジャスティン・ビーバーに次ぐ世界第二位の人気YouTuberだ。



Translated by Miki Nakayama

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