トニー・アイオミとの再会—最近お気に入りの音楽は何ですか?プラント:いまイギリスのラジオは非常に厳しい。完全に終わったとは言わないが、ラジオはもはや時代遅れだ。ニューオリンズにはいくつか素晴らしいラジオ局があって、アプリをダウンロードすれば多彩なルイジアナの音楽を聞くことができる。最近ずっと聞いてるのはロウ・アンセムだ。パワフルな高音のメロディが気に入っている。それから地元の音楽もチェックしている。ちょっと前にナッシュビルにいたんだが、地元の若いシンガーや作曲家の曲をたっぷり聞かせてもらった。全体的に、いまは新旧の音楽が入り混じる万華鏡のようなものだ。ディランの最新アルバムはかなりポイントが高かった。オープニング曲にはガツンとやられたよ。人生の幕引きであり、同時に幕開けのような感じだ。あれは本当に良かった。
—パンデミック中、一緒にレコーディングはしなかったものの、ともに過ごしたアーティストがいましたね。ブラック・サバスのトニー・アイオミですが、2人でギターをオークションに出して、マスク姿で写真に写っていました。彼との再会はいかがでしたか?プラント:1月か2月にナッシュビルにいて、空港で偶然ばったり会ったんだ。彼はギター関連の仕事があって、俺は歌のほうの仕事があった。イギリス行きのフライトを待っていたら誰かが近づいてきて「こんにちは、2人とも再結成したんですね」と言ってきた。「おそらく俺も変わったし、この男もレッド・ツェッペリンかブラック・サバスのどっちかが再結成したと思ったんだろう」と思った。ガンズ・アンド・ローゼズのメンバーがAC/DCに加わるみたいにさ。懐古主義な奴らがあっちからこっちのバンドを渡り歩くことがあるから、推理ゲームのような感じで、世間は「なるほど、OK、そういうことか。しがらみは関係ないんだな」となる。それが俺にはすごく面白くて、こう言った。「それもありかもしれないな。お前が『カシミール』を弾いて、俺が『パラノイド』を歌うとかさ」。そんな感じで冗談を続けているうちに、募金活動の話になったんだ。すごいよな。
(ギターのチャリティオークションに関しては)彼は大真面目に、(2012年にリンパ腫と診断されたあと)快復して健康でいられるのは自宅からそう遠くない病院の医療関係者のおかげだ、と考えていた。それでチャリティ活動とかを熱心にやっていた。俺もここ最近、地元の国民健康サービスに対しては思うところがあった。普通なら常備してあるような医療品、誰でも持っていそうなものが、緊急事態にほとんど底を突いてたって言うんだから、それはもう驚愕だった。国民健康サービスや、相当危険な情報で保護具なしに長時間働いていた人々への感謝の年が高まっているんだ。それで俺たちも、オークションをやろうということになった。本当に彼はいい奴だよ。たぶん言い出したのは彼のほうだったと思う。