WONK密着取材で迫る、未来的バーチャルライブの舞台裏

WONK 「EYES SPECIAL 3DCG LIVE」より


バーチャルの裏にあった試行錯誤、異世界でも「対話」は欠かせない

開演予定の19時を10分ほど過ぎた頃、画面にはまるでマーベルの世界に迷い込んだかのような近未来的な高層ビル群が広がり、空にはアルバムジャケットと同様の大きな青い月が浮かぶ。そして、その中の屋上のひとつに設置されたステージに、宇宙服のような衣装のメンバーが姿を現し、ライブは『EYES』の曲順通りに進行していく。ビルとビルの間にはレーザービームが飛び交い、楽器も発光したり変色したりしているし、ダンサーのアバターも登場したりと、バーチャル空間ならではの様々な演出が施されていった。




配信ライブでは身体性や視覚的な楽しさが損なわれがちだが、そこを絶妙に補っていたのが、途中で登場したクリスタル状の巨人と紫色のダンサー。

メンバーが演奏する姿は驚くほどなめらかで、鍵盤を弾く江﨑の指先も、全身でドラムセットを叩く荒田洸(Dr)のモーションにも違和感はなく、十分な「ライブ感」が伝わってくる。モノクロの世界が広がった「Mad Puppet」では、長塚のダイナミックなジャンプを合図に映像がカラーに変わるという演出も。この曲を終えたところで一度演奏を中断し、MCのコーナーに移ると、チャットを見ながら視聴者と交流し、改めて、このライブがリアルタイムで行われていることを実感する。

「アバターの表情とかはすごくいい感じに作ってくれたんですけど、CGだとどうしても動きに制限があるから、自分の所作でいかによりリアルに近い形で見せるかっていうのはすごく考えました。現実にいるスタジオよりも遥かに大きい規模感のものをみんなは見てるわけだから、それに合わせてどう動くことがベストなのか、それを常にイメージしていましたね」(長塚)

「最初はCGが手首の柔らかい動きとかについてこれなくて、スティックの先から腕まで全部棒みたいな感じだったんですよ(笑)。それを改良するために、スティックにもセンサーを仕込んだりして、スムーズに動くようになりました。あとは実際に画面の動きを見ながら、センサーに対して自分がどう動けば自然な動きに見えるのかを研究して、難しかったですけど、だんだんそれができるようになってきたと思います」(荒田)






3DCGライブの魅せ方で、大きな収穫は荒田のドラム。スティックの軌道や叩いた瞬間の「光る」演出は、音と視覚をわかりやすく結びつけていた。その一方で、鍵盤やベースを操る手つきの再現は今後の課題か。アバターは表情、顔の作り、体型など本番直前まで調整された。

「バーチャルな世界でのライブなので、楽器演奏の音と、その空間の中での響き方を上手くミックスさせるってところはこだわりました。せっかく視覚上面白いことが起こっているのに、聴覚によってそれが損なわれることがないように、環境音を上手く取り込んでもらったりしつつ、でも音自体はライブっぽいバランスで出力されるようにしたり、そこはかなりこだわり抜きました」(江﨑)

「ライブって何が楽しいんだろうなって改めて考えると、実際にリアルタイムで起こっていることよりも、それをお客さんがどう思ってくれてるのかに興味があったんですよね。配信ライブは一方的に受け取るものになりがちだから、ちゃんとお客さんの反応を見てるよってことを、こっちが定期的にフィードバックしてあげる必要がある。なので、コメントを読んだり、そこに書かれたことを実際に体で表現したりすることによって、ちゃんと相互のコミュニケーションを取ることは意識しました」(井上)


「Heroism」演奏中、ファンから事前に募集した「24文字のメッセージ」。インタラクティブな要素も随所に盛り込まれた。

蝶やクラゲの映像が浮かび上がり、神秘的な雰囲気を作り上げた「Blue Moon」から、江﨑のピアノソロに続いて、「Esc」を演奏するとメンバーの背後に大きなワープゲートが姿を現し、アルバムのストーリーと同様に「Third Kind」でメンバーは月に到着。ボーカルエフェクトを用いて異世界ならではのサウンドを生み出すなどして、「Depth of Blue」の後に長塚が世界の現状を伝え、この記事の冒頭に記載したMCを語りかけると、「If」でメンバーは月を後に。「Heroism」ではミュージックビデオ同様、nagafujirikuによる3DCG空間をワープして行く中で、事前に募集したメンバーへの24文字のメッセージが流れ、ここでもファンとの確かな双方向性を感じさせる。元の世界に戻った4人は「In Your Own Way」までを演奏し終えると、「いつの日か、リアルなライブで会えることをメンバー一同楽しみにしています」と話し、「Rollin’」のMVが映画のエンドロールのように流れる中、革新的なライブが幕を閉じた。

Photo by Shintaro Kunieda, Naoki Sato

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