【密着ルポ】若きバンドの挑戦、FAITHが無観客配信+ライブハウスで見せた「生と死」の物語

劇的なライブを終えたメンバーに直撃

荒井とルカによるセッションのあとは、場所を普段のステージ上へと移し、Akari、ヤジマ、レイの3人によるアコースティックコーナーへ。これがまたよかった。ギターも、歌も、ハモりも、全てがよかった。たとえちょっとしたミスがあったとしても、彼らが醸し出すリラックスしたムードがそれすらも演出のように感じさせるのである。最近は、完璧な演奏で聴かせるバンドが多く、それはそれで決して悪いことではないんだけど、FAITHのように人間を鳴らしているかのようなパフォーマンスは見ていて心地よいし、当然、感情移入もしてしまう。


Photo by Kazushi Toyota

アコースティックセッションが終わると、「Yellow Road」のMVメイキング映像が流れる。約1年半前の5人の姿は完全に少年少女で、見ていて思わず頬が緩む。再び衣装チェンジをし、ついに迎えた最後のパートではまず「Yellow Road」を披露し、エンディングへと向かっていく。

「Pre-independence Diary 〜”私”をみつけるために〜」というコンセプトを体現した60分にわたる生配信ライブのラストを飾ったのは、未発表の新曲「Last Will」だった。この曲のテーマは生と死。終わりは始まりでもあるから、恐れずに今を自分らしく優雅に生きていく。いつ死ぬかわからないからこそ自分の思い描く人生を歩みたい、という思いが込められた、「Headphones」「Irony」に続く3部作の最後を飾る楽曲だ。「これからの生き方、これまでの生き方を考えるきっかけになればいいな」とAkariから視聴者へと伝えられたあと、FAITH史上最も壮大な楽曲が鳴らされたのだった。


Photo by Kazushi Toyota

もしかすると、この日の60分は、この楽曲を最大限に美しく鳴らすための時間だったのかもしれない。それぐらい素晴らしいエンディングパートだった。現在、数多くのバンドが配信ライブを行っているが、ライブハウス規模の生配信ライブとしては、最もコンセプチュアルで、最も上手くいったステージのひとつだったのではないだろうか。構成に隙がなく、それでいて音楽愛、バンド愛に満ちた時間だった。ライブ直後、まだ興奮冷めやらぬ5人に話を聞いた。


Photo by Kazushi Toyota

―素晴らしいライブでした。まずは1人ずつライブの感想を聞かせてください。


ルカ:あっという間でしたね。もちろん、ずっと準備してきたことではあったんですけど、今日だからこその形でできたので、それがよかったと思います。楽しかったです。

荒井:めちゃめちゃ楽しかったです。1、2カ月前ぐらいから準備をしてきて、その時間もあっという間だったし、本番はもっとあっという間でした。でも、楽しかったのと同時に課題もたくさんあったから、それは今後につなげていきたいし、もっともっと自分たちらしいアイデアを出していきたいなと思いました。

―課題というのは?

荒井 現場では楽しくやってるんだけど、リハの時とか、画面を通して見るとちょっと動きがコンパクトに見えてるのかなって。そういうところをアーカイブを見てしっっかり確認したいです。

―ああ、配信だとライブハウスとは違う見せ方を意識しないといけないですよね。

荒井 そうですね。カメラマンや照明さんとの連携とか。あと、ヤジマとレイはカメラ目線が上手いんですよ(笑)。そういうところも見習っていきたいですね。演奏をバッチリにした上で演出の部分も意識していけるようにしたいです。

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