カネコアヤノが語る、流されやすい自分に「言い聞かせるため」に歌う理由

バンドなんだけど、バンド名が付いていないだけ

—仕事とか生活のために頑張らなきゃってなると、頭で考えることが増えてしまうんですけど、カネコさんの曲を聴いていると、綺麗な景色を見てるような、自分の五感を思い出せる感覚があります。

あ、嬉しい。大人になったり歳を取ったりするにつれて、腐ってくっていうか。小さいときはまだ全部が新しいから五感も刺激され続けるけど、慣れていくことによって腐っていっちゃうから、そこは意識して保ちたいですよね。例えば小さいときに食べられなかったものが大人になるにつれて食べられるようになるのって、単純に舌がバカになってるかららしいんですよ。苦手がなくなることはもちろんいいことだけど、そんなふうに自分の感性もぶっ壊れていくんじゃないかな。そこはやっぱ壊したくない。保ちたいですよね。「あ、私今腐ってきてる」って思ったら、「なんでここにいるんだっけ」「なんで私この洋服着てるんだっけ」って考えたいです。

—そういうのって、どんな風に気付くんですか?

バンドの場合は毎日やってるから分かる。完全にこれ、全員だるいって思ってるなって。でもそういうときはシンプルに話しますね。自分も含めて、私たち今やばいと思いますって。あとは、人前でやるのが当たり前になってるのも結構怖いと思っていて、明日も明後日もZepp東京でライブできるわけじゃないし、それは甘えないようにしようよって話します。名前がついたバンドじゃないからこそ、話し合いでちゃんと繋ぎ止めないといけないような気がしてて。できるだけ対話をするようにしてます。

—バンドって形で固定はしない?

全員の気持ち的には多分バンドだし、この先のレコーディングもアレンジもこのメンバーでやっていこうってことにはなってて、ただ本当にバンド名がついてないだけって状態だと思うんですよね。私はあなた達とやりたいんです、だから、私も強制はしないけど、君達も自分でここにいる選択を取ってくださいみたいな。私のところってわけじゃないけど、何をするにも自分で選んでそこにいるってことをちゃんと考えてやろうよとは言いたいし、たまに言ってる。でも本当に今のメンバーでやっていきたいから、バンドなんですよ。バンドなんだけど、名前が付いてないだけ。名前だけじゃないと思う。

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