斉藤和義が語る、年齢を重ねながら紡ぐ「音楽」とコロナ後の「希望」

Rolling Stone Japan vol.14掲載/Coffee & Cigarettes 28| 斉藤和義(Photo = Mitsuru Nishimura)

音楽、文芸、映画。長年にわたって芸術の分野で表現し続ける者たち。本業も趣味も自分流のスタイルで楽しむ、そんな彼らの「大人のこだわり」にフォーカスしたRolling Stone Japanの連載。35歳で『35 STONES』、45歳で『45 STONES』とアルバムを発表してきた斉藤和義が、55歳を迎える2021年に『55 STONES』をリリースする。音楽を通して時代を見つめてきたシンガー・ソングライターは今何を思う?

Coffee & Cigarettes 28 | 斉藤和義


「歌うたいのバラッド」や「ずっと好きだった」など数多くの名曲を生み出し、デビューから25年を経てなお第一線で活躍し続けるシンガー・ソングライター斉藤和義。前作『202020』からおよそ1年ぶりにリリースされた通算21枚目のオリジナル・アルバム『55 STONES』は、コロナ禍でほぼ全ての楽器を演奏し、自らレコーディングして作り上げた意欲作だ。

「家には録音用の機材環境があるのですが、使い方もあまり分からず今までデモ作りにすら使っていなかったんですよ(笑)。でも時間はたっぷりあるし、せっかくだから何か試しに録ってみようと。ウォーミングアップがてら始めたところ、『これは良さそうだから曲にしてみよう』と思えるアイデアがどんどん出てきて。『この曲はやっぱりバンドでやりたいな』と思う曲に関しては、メンバーにメールで投げて楽器を入れてもらうなどしているうちに、気づいたらアルバム1枚分の楽曲が揃っていたんですよね」

ここまで全編にわたって宅録曲が並んでいるアルバムは、斉藤の長いキャリアの中でも初めてだろう。自宅のプライベートスタジオで、気の赴くまま音を楽しんでいる様子が音の間からひしひしと伝わってくる。一方、自粛期間が明け久しぶりにバンド・メンバーと集まってレコーディングした「Boy」は、仲間と音を合わせることの喜びがそのまま音の中に表れているようだ。ある意味、2020年の斉藤によるドキュメンタリー的な作品といえるかも知れない。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE