斉藤和義が語る、年齢を重ねながら紡ぐ「音楽」とコロナ後の「希望」

Rolling Stone Japan vol.14掲載/Coffee & Cigarettes 28| 斉藤和義(Photo = Mitsuru Nishimura)


そんな本作『55 STONES』では、YMOの「BEHIND THE MASK」(1979年)のカバーも披露している。かのマイケル・ジャクソンが『スリラー』に入れようと計画し、諸般の事情で見送られた曰く付きの名曲だ。

「レコーディングの練習として、手始めにカバーをやってみようと思ったんです。もともと大好きな曲で、YMOのアレンジを踏襲しつつ全て生楽器でやってみたらどうだろう?という実験的な試みでした。実は2018年にリリースした『Toys Blood Music』でも、80年代のリズムマシンとシンセを同期させたテクノっぽいアプローチに挑戦しているんですよ。今作収録の『Lucky Cat Blues』なんかは、まさにその延長で作った曲ですね。実はこの曲、スマホの無料アプリで作ったシンセの音なども含まれているんです。適当に叩いて遊んでいると、普通のやり方では絶対思いつかないような変なフレーズが生まれたりして。それに触発されたベースやギターを入れていくのは、ある意味“一人セッション”的な楽しさがありましたね。そういう作り方じゃないと生まれない曲になったと思います」

ロックの定石にとらわれず、遊び心も随所に散りばめるようなフレキシブルな制作が出来るようになったのは、自身が年齢を重ね、何をやっても揺るがない軸を手に入れたこともきっと大きな理由としてあるだろう。


Photo = Mitsuru Nishimura

「40を過ぎて『中年』の太鼓判を世間から押された気がして、それで気持ちも楽になったんですよね。そこからちょっと遊び心も出てきたというか。例えば誰かに楽曲提供をするとか、昔はあまり好きじゃなかったのだけど、そんなことも楽しめるようになってきて。何か依頼がきた時に『俺は、そういうことはやらない』と言ってしまうのは簡単だけど、それって『逃げ』でもあるし、ちょっとカッコ悪いよなとも思うようになった。実際こだわりを捨てて、思い切ってやってみたら案外面白くて。『そうか、人からもらったお題で曲を作ると、こんなアイデアが自分の中から出てくるんだなあ』みたいな、新鮮な気持ちになったんですよね」

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