ノラ・ジョーンズが語る、クリスマスに捧げた「孤独を癒す歌」の真意

ノラ・ジョーンズ(Photo by Kat Irlin)


プロデューサーと二人の盟友について

―今作はプロデューサーにレオン・ミッチェルズが迎えられています。『ビギン・アゲイン』『ピック・ミー・アップ〜』でそれぞれ2曲ずつテナー・サックスを吹いていましたが、今作でプロデューサーに起用した決め手はなんですか?

ノラ:決めたのは、彼がいい音楽をたくさんプロデュースしているから。まず彼のプレイリストを友達が送ってくれて、すごく気に入ったので、「一緒に曲を書かない?」って連絡してみたの。ちょうどクリスマスアルバムを作ることを考え始めたときだったので、「一緒にクリスマスソングを書いてほしい」と伝えたのね。以前から彼とは気が合ったし、上手く私の手助けをしてくれるひとだと感じていたから。

―前作『ピック・ミー・アップ〜』はあなたのセルフプロデュース作品でしたが、今回は初めからプロデューサーを立てようと考えていたのですか?

ノラ:自分で作ることもできると思ったけど、今回は私が求めているサウンドを具現化してくれるひとがいたほうがいいなって思って。サウンドの方向性を導いてくれるひとが必要だった。レオンなら楽曲の持つノスタルジックな感触を残しながら、新鮮な何かを生み出してくれるだろうと思ったの。彼はいろんな楽器ができるので、一緒にアレンジのアイデアを出して、その場で一緒にプレイして試すことができた。「ここにこういう音を重ねてみよう」なんて感じで作っていくのは、とても楽しいことだったわ。止めることができなくなったくらい。

―具体的には、どのように制作を進めていったんですか?

ノラ:サウンドの方向性の参考になりそうな音源を互いにプレイリストにして送り合い、折り合いのついたところで、私がピアノを弾いて歌ってみた。それからドラムのブライアン・ブレイドとベースのトニー・シェールと一緒にスタジオに入って演奏し、それをレオンに聴いてもらって、どう思うか彼の意見を聞いて演奏し直して。それをまたレオンに聴いてもらって……。そうこうしているうちに完成してしまった感じ(笑)。

―ブライアン・ブレイドとトニー・シェール。あなたとはデビュー当時からのお付きあいとなるふたりですが、それほど絶大な信頼をおく理由は?

ノラ:彼らとプレイすると、よりいいプレイをすることができるの。必ず何かしらインスピレーションを受けるし、ほかにない特別な波長を感じることができる。ブライアンは歌詞をなぞるように演奏するドラマーで、ものすごいグルーヴを感じるわ。もちろん人間的にも最高だし。トニーはベースも素晴らしいけど、ギターもプレイして、しかも独特のグルーヴがある。ふたりとも、とにかく耳を澄ませて音をよく聴くの。私たち3人のプレイには特別な相互作用がある。互いのプレイのエネルギーに触発され、それによってグルーヴとかインプロヴィゼーションが生まれる。誰とでもそうなるわけではなく、そういうのって特別なことなのよ。そして、このレコードからもそういう特別さを感じてもらえるはず。



―あなたのヴォーカルについてお聞きします。5曲目の「クリスマスタイム」はソウルバラードで、あなたの太い歌声の響きが印象的でした。近年の作品……例えば『ビギン・アゲイン』収録の「イット・ワズ・ユー」や、2019年のシングル「アイル・ビー・ゴーン」といったスロー曲でもあなたのソウルフルなヴォーカルが印象的でしたが、そうしたソウルフルでディープな歌いまわしと響かせ方は、意識的に獲得したものなのでしょうか。それともライブを重ねるうちに自然とそういう歌い方ができるようになったのでしょうか。

ノラ:私はいろんなことにトライするし、ときには自分の領域を超えたようなことも頑張ってやってみるけど、ヴォーカルに関しては意識的にアプローチすることがないの。歌い方について、あまり考えたりはしない。だから、時間が経つうちにそういう歌い方ができるようになってたってことなんでしょうね。

―ソウルフルな歌唱法に限らず、デビューから20年の間にヴォーカル表現の幅がすごく広がったように思うんです。ツアーを重なたことの成果なんですかね。

ノラ:常に自分の道を歩いてきた、ってことじゃないかしら。まあ、誰もが自分の道を歩むわけだけど……。いろんなジャーナリストから「どうしてあなたはそんなに冒険心に溢れているんですか?」とよく訊かれるんだけど、私はただ単にいろんな物事に対してオープンでいたいだけ。新しいことを躊躇せずにやるし、いろんなひととコラボレーションするし。あらゆることに対して心を開き、意欲的にやってみる。そのことが自分を向上させてくれている気がするわ。実際にやってみるまで何が起こるかわからないし、どういう結果になるかもわからない。でもそれが面白いんだし、常に未知の世界を受け入れられる状態でありたい。冒険心を持って、恐れずなんでもやってみるミュージシャンでいることが好きなの。これからもそうしていくつもり。だって、それは私にいい結果しかもたらさないから。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE