BREIMENワンマン完遂、真の表現者たちが追究する「自由」の意味

高木が歌う“決めつけないで”の一行

この日のワンマンライブは、前身バンド・無礼メンで鳴らしていたようなクールでコミカルな表現の名残がある楽曲から、1stアルバム『TITY』で表現した恋や愛やエロについて、2ndアルバム『Play time isn’t over』の楽曲、そして最新曲「あんたがたどこさ」と「CATWALK」まで全18曲を惜しみなく演奏し、BREIMENというバンドの歩みを総括するような内容だった。中盤では風俗のことを歌った「PINK」のサトウカツシロのギターソロとジョージ林のサックスが吹き荒れた壮大なアウトロから「脱げぱんつ」へとスムーズに繋げたり、終盤では「Lie on the night」から「noise」「You were my muse」とメロウに仕立てたゾーンがあったりと、BREIMENの楽曲のバリエーションの豊富さがライブの流れに緩急をつけていた。そして、時代や作品によって表現の内容に変化はあれど、BREIMENとしてずっと変わらない地続きの部分もあるからこそ1本のライブにまとめることができているということも示す内容だった。たとえば5曲目「ODORANAI」(1stアルバム収録曲)から6曲目「utage」(2ndアルバム収録曲)と繋げたシーンは、女の子に踊らされている描写から、SNS、資本主義、そして国家へと踊らせてくる対象を広げて歌っていくような流れが見事だった。


Photo by renzo masuda


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この日のMCで、5人はびっくりするほど自由だった。高木祥太(Vo&Ba)がいい話をしているのに、やたらとツッコむサトウに、ステージ上からツイートを投稿しているいけだゆうた(Key)。5人は出自も違えば、同じクラスにいても仲良くなってないかもしれないくらい性格もばらばらのように見える。演奏においても、それぞれの個性がダダ漏れである。そうやって、全然違うものが合わさることで笑える面白さが生まれることや、一人ひとりがのびのびしながら個性や得意なことを発揮する空間こそが幸福であるということを、BREIMENはステージ上の佇まいで体現している。歌の言葉、鳴らしている音、バンドとしての佇まいが、すべて一貫しているのがBREIMENの表現者としての強度であるのだ。


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“何でも鑑定団”というユーモラスなワードからはじまる「色眼鏡」では、ヴォーカル・高木以外のメンバーが歌を回していく。レコーディングの際には「え、俺が歌うの?」なんてリアクションが他メンバーからあったのではないだろうかと想像する。So Kanno(Dr)、ジョージ、いけだが半笑いで歌を回したあと、Bメロに入って高木が歌うのは“決めつけないで”の一行である。自分に何ができるかできないか、何が楽しいか楽しくないか、何が正しいか正しくないか、すぐに「決めつけないで」とするのは、『Play time isn’t over』で一貫していたBREIMENの姿勢だ。


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