YAJICO GIRLが語る、「どこか懐かしい響き」の正体

YAJICO GIRL(Photo by domu)



タイトルを「回顧=Retrospective」にした理由

─なるほど。ちなみに、本作を制作している時期にインスピレーションを与えたのはどんな音楽だったのでしょうか。

四方:例えばTikTokでバズっているちょっとジャンキーなサウンドや、最近リバイバルしている2000年代ハイパーポップのようなバキバキのエレクトロサウンドも「一度はやってみたいよね?」みたいな話はメンバーとしていました。それと、「どことなく君は誰かに似ている」という曲ではハウスっぽい、ゴリゴリのダンスミュージックを取り入れています。何か具体的な作品を聴き込んでいたというよりは、ちょっと興味はあったけど踏み出していなかったことを、一つずつチャレンジしていった感じですね。

それとは別に、個人的によく聴いていたのはクレイロの『Sling』とカニエ・ウェストの『DONDA』、それからラナ・デル・レイの『Chemtrails Over The Country Club』です。特に『DONDA』は、いろんなアーティストが参加していますが、それぞれの「声」の一番美味しいところを上手く引き出していて。めちゃくちゃ良質なボーカルアルバムだなと思いましたね。

─アルバム・タイトルを「回顧」という意味の「Retrospective」にした理由は?

四方:今回、楽曲が5曲並んだ時点で、ある程度は統一感を出さないと作品としてのまとまりがなさ過ぎると思ったのですが、歌詞がなかなか思い浮かばず、一旦地元の大阪に帰ってそこでまとめて書くことにしたんですね。その時に学生時代のことや、幼少期に経験したことなどを色々と思い出して。それが今回のサウンドにもマッチしていたので「回顧」と名付けることにしました。

─自分の過去と向き合うことになったのは、コロナの影響もありますか?

四方:言われてみれば、もしかしたらあったのかもしれないですね。上京してきた矢先にコロナの感染が広がり、人との関わりが減っていく中で、改めて家族や地元にいる友人のことを考えたし、そういう思い出が自分の中に残っていれば、それを糧として残りの人生も頑張っていけるのかな、みたいな。「思い出」は生きる上での支えになっていることを、コロナ禍で改めて思い知らされたのかもしれない。

─ノスタルジーは、時にネガティブな意味合いで語られることもありますが、四方さんにとっては必要なもの?

四方:うーん、そう言われると難しいところですね(笑)。明確な答えが自分の中にないからこそ、例えば「Life Goes On」という曲では、“振り返ることでまた明日も頑張れるじゃない それともなんか嫌になって逃避してるだけ?”と、余白を残しているわけで。「昔はよかった」みたいなことを、ずっと言っている人は嫌ですしね(笑)。そこは安易に答えを出さず、分からないことは分からないまま素直に言葉にできたかなと思っています。



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