RADWIMPSが約2年3ヶ月ぶりのツアーで魅せた前へ進む覚悟

「まだいけるかい? 終わりたくないけど、終わりに向かわないと進めないという、すごい、すごい不思議なもんで。それはライブという時間もそうだし、一生もそう。だけど、どうせ進むなら、終わりに向かうなら、おもいきり愛しい時間を一緒に過ごしましょう」洋次郎がそう語ると、文字通りの多幸感がバーッと広がった「NEVER EVER ENDER」を皮切りにライブは後半のセクションへ。

洋次郎がギターを持ち〈ロックバンドなんてもんを やっていてよかった 間違ってなんかいない そんなふうに今はただ思えるよ〉とサビのフレーズを弾き語った時点で大きな拍手が起こった「トアルハルノヒ」も実に印象的だった。曲を歌い終えると洋次郎は「ロックバンドなんてもんを好きでいてくれてありがとうございます」とオーディエンスにあらためて謝辞を述べた。

一呼吸置いてからエレピのイントロをバックに東京というホームタウンについて、『FOREVER DAZE』でその街をタイトルに冠した曲を作った思いを語りだした。特別な街だけれど、照れくさいから特別だとは言いたくない関係性。でも、このタイミングであえて歌ってみようと思い立ち、この人と一緒に歌うならば特別な曲にできると確信したということ。そして洋次郎は「大きな、大きな拍手でお迎えください」と、iriその人をステージに招き入れた。あえて飾り気を取り除いたサウンドの中でシームレスに優しく穏やかなフロウとメロディを紡いだ洋次郎とiriにオーディエンスから温かい拍手が送られた。


左からiri、野田洋次郎(photo by Takeshi Yao)

iriが「胸いっぱいですよ。また洋次郎さんと一緒に歌えることを願ってます」と言うと、洋次郎は「こちらこそ。それぞれの表現の途中できっとまた会える気がするし、あなたが何を表現し続けるかずっと見ていたいし、あなたの唯一無二のその声を、音楽をずっと楽しみにしてます」と応え、2人はハグを交わした。


Awich(photo by Takeshi Yao)

「Tokyo feat.iri」に続いて流れたのは、「SHIWAKUCHA feat.Awich」のイントロだ。洋次郎が最初のサビを歌い終えると、「みなさんでっかい拍手でお迎えください! Awich」と叫ぶ。すると、センターステージに立っているAwichにスポットライトが当たり、彼女は「ワッツアップ、幕張!」と咆哮すると、まさにヒューマニズムの塊のような、折れない魂というものを漲らせるようにしてソウルフルなラップと旋律が渾然一体となった歌唱を放った。そこにいる誰もが、Awichという比類なきラッパー/シンガーのすごみと包容力を十二分に体感しただろう。「アイラブユー、RADWIMPS! 素晴らしいツアーに参加させていただいて本当にありがとうございます。大好きです!」Awichが深い感謝の念を伝えると、洋次郎と互いを慈しみ鼓舞するようにしてハグをした。そこから「いいんですか?」へ。ここでは過去のライブ音源から抽出した合唱が、歌いたくても歌えないそこにいるオーディエンスたちの声なき声とハンドクラップを後押しした。

Rolling Stone Japan 編集部

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