ロードとデイヴィッド・バーンが語る、表現者としての葛藤とソングライティングの秘密

ソーシャルメディアは使わない

ロード:ありきたりかもしれませんが、質問させてください。これまでの人生で学んだことで、他人と共有できる教訓みたいなものってありますか? 賢者の知恵というか。

バーン:かなり難しい質問だね。

ロード:答えが存在しないのかもしれませんが。

バーン:自分が得た教訓を、他人と共有すべきなのかもしれないと思う時はあるよ。「これだけは覚えておくといい」みたいなね。でも大抵、自分は何様のつもりなんだと思ってしまって、結局引っ込んでしまうんだ。自分が他人よりも知恵を持っているっていう考えが傲慢に思えるんだよ。他人から見たり聞いたりするよりも、自分自身で経験したほうがいいのは確かだしね。

Photograph by Shaniqwa Jarvis for Rolling Stone

ロード:もう1つ、聞いてみたいことがあるんです。あなたは文化の枠を超えて、あらゆるソーシャルなものと深く結びついているように思えます。あなたはソーシャルメディアが好きか、あるいはその恩恵を受けていると感じていますか?

バーン:私はソーシャルメディアを使わないんだ。小さなマネジメントチームに「写真だけ投稿しておけば充分だ」みたいな指示を出してはいるけど、プライベートでは使っていないよ。

ロード:私もです。

バーン:ソーシャルメディアが一般的になり始めた時、こういうものに割く時間があるなら他のことをすべきだと思った。ソーシャルメディアを活用するメリットよりも、自分のワークフローを維持することの方が私には重要だったからね。君はどう? 主に友達との交流とかから情報を得ているのかな?

ロード:新しい情報は、主に新聞かスマートフォンで得ています。多分Twitterとかよりもよく使ってるかも。知らないことも多いですが、それは割り切らないといけないと思っていて。というのも、私は10代の頃や20代前半にありとあらゆるサブジャンルやマニアックなものを知り尽くそうとしていたんですが、引っ込みがつかなくなって大変だったので。

バーン:何かの抗議活動だとか、世の中で起きていることの多くは友人に教えてもらうんだけど、そんな情報をどこから得るんだって聞くと、みんなソーシャルメディアだって答える。それを使わない分だけ、自分が情報に疎いというのは確かだね。

ロード:分かります、私も似たような経験をしたことがあるので。難しいですよね。

バーン:朝起きて、グレープフルーツとコーヒーで朝食を済ませた後、私は少なくとも2つの新聞のオンライン版に目を通すようにしているんだ。その間だけは、貪るように情報を漁っているよ。

ロード:私もグレープフルーツは大好きです。先の尖った専用のスプーンを持っていますか?

バーン:かなりパーソナルな内容になってきたね。私は普通に、手で皮を剥いてから半分に割いているよ。

ロード:えっ、信じられない。私はグレープフルーツの皮を剥いたことがないので。

バーン:そんなに難しいことじゃないよ。

ロード:多分、ほとんどの人にとっては初耳ですよ。

From Rolling Stone US.

Translated by Masaaki Yoshida

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