銃を手に取ることはアメリカ人の美徳 共和党候補者たちが中間選挙を前に過激化

「国を守るためのライフル銃」使用を訴え

銃を中心にしたCMの増加にフィリプコウフスキ氏が本格的に気付き始めたのは2021年秋、候補者たちが選挙活動第1弾としてCMを撃ち始めたころだったそうだ。以来、この流れが続いている。

例えばトランプ前大統領の元補佐官で、アンソニー・ゴンザレス共和党下院議員の退任に伴うオハイオ州代表補欠選挙に出馬しているマックス・ミラー氏は、「国を守るためのライフル銃」使用を訴えている。



続いてジョージア州代表下院議員選のマイケル・コリンズ候補のCM。「ナンシー・ペロシのアメリカ計画」を撃破した後、大きなトラックに乗り込み、アメフトボールを投げ、再びアサルトライフルをぶっ放す。「私はためらうことなく、初日からトランプ派であることを公言する」とも語っている。



最後にアリゾナ州選出上院議員選に立候補しているブレイク・マスターズ氏。ワルサーPPKとサイレンサーへの熱い想いを語っている。



投機資本家のマスターズ氏は、トランプ氏も大好きな億万長者ピーター・ティール氏の秘蔵っ子で、予備選挙活動ではずっと銃を前面に押し出している。バイデン大統領は先日、入手ルートが追跡できない手製の銃、いわゆる「ゴーストガン」の取り締まりを公言したが、これに対抗して自ら組み立てた「ゴーストガン」の写真をツイートし、「非常に合法的でとてもクール」と投稿した。

「建国の祖はみな自ら銃を組み立てていました」とマスターズ氏はさらに続けた。「我々にも同じことを求めていたはずです――これこそ究極の政治行動、憲法修正第2条で守られている自由です。テクノロジーの勢いはとめられません。3Dプリント技術により、年を追うごとにますます簡易化するでしょう。“銃規制”に関しては私が政治的くさびとなるでしょう。ですがテクノロジーのくさびは避けられません」

憲法修正第2条が攻撃されていると訴え、銃改正政策の縮小を誓う共和党員はマスターズ氏だけではない――フロリダ代表下院議員選のアンソニー・サバティーニ候補がバイデン大統領の演説に反発し、アルコール・たばこ火器局(ATF)の廃止を先日呼びかけた――もし11月の中間選挙で共和党が連邦議会で過半数を取り返せば、全米レベルでの銃携行の承認や経歴チェック廃止など、次から次へと銃賛成法案の可決を図ってくるだろう。「極右政治家は、予備選挙で銃ロビイストにこびへつらっているんです」。銃反対を掲げる団体Moms Demand Actionの創始者シャノン・ワッツ氏はローリングストーン誌にこう語った。「議席を獲得すれば、間違いなくそうし続けるでしょう」

Translated by Akiko Kato

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