クラッシュシンバルから紐解く緊張と脱力の音楽・ファンク、鳥居真道が徹底考察

シンバルのことを考えていたらポテチが食べたくなりました

ファンクやソウルのリズムを取り入れたビートに、等身大で耳に引っかかる歌詞を載せて歌う4人組ロックバンド、トリプルファイヤーの音楽ブレインであるギタリスト・鳥居真道による連載「モヤモヤリズム考 − パンツの中の蟻を探して」。第35回はドラムプレイにおけるクラッシュシンバルが楽曲にもたらす効果を考察する。

飲食店で食事をしているときに「ガシャーン!」という音が聞こえてきたらびっくりしますよね。怪我を想起させる音だから心臓に悪い。バンドの一員としてステージ上で演奏していても、予期せぬタイミングで「ガシャーン!」という音が聞こえるとドキッとさせられます。盛り上がったオーディエンスがビール瓶をフロアに叩きつける音ではありません。ドラマーが叩いたクラッシュ・シンバルの音にびっくりするのです。

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「クラッシュ・シンバルってどのシンバル?」と思う方もいるかもしれないので、少し説明をはさみたいと思います。クラッシュ・シンバルは、ドラムセットと正対したときに左右に見える対になった大きめのシンバルのことです。いわばドラムセットにおける仁王像です。「デイヴ・グロールがドラムを叩いているところを想像せよ」と言われて、10人中8人ぐらいの人が、両手で左右のクラッシュ・シンバルを叩いている様を頭に浮かべることでしょう。重力に逆らう長髪とともに。

私はドラマーではありませんから下手なことは言えませんが、クラッシュ・シンバルは、材質や大きさ、表面の加工によって音が異なるようです。ギラついた派手なものもあれば、シックでエレガントなものもあるといった具合です。音楽ジャンルによって好まれる音も違ってきます。どういうタイプのクラッシュ・シンバルを持ってくるかによってドラマーのセンスが浮き彫りになるようなところがあります。

Rolling Stone Japan 編集部

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