海外からラブコール殺到、カメレオン・ライム・ウーピーパイの圧倒的個性が求められる理由

 
海外アーティストとの共同作業で学んだこと

Chi-とWhoopiesはこのように個性を磨きながら、海外アーティストとのコラボを通じて多くのことを学んできた。スティーヴン・ハリソンを迎えた「Whoopie is a Punkrocker feat. Stephen Harrison」での共同作業は、サプライズの連続だったという。

「『ギターが必要になったら手伝うから連絡して』とDMが届いて。ちょうどパンクな曲を作ろうと思っていたので、音源を送ったらメチャクチャ気に入ってくださったみたいで。でもそのあと、『曲のデータを一式送ってほしい』と言われて、戻ってきたものを聴いたらギターが入っただけでなく、ベースやドラムも手が加えられ、曲の構成まで変わっていたんです。途中のサビを最後にもってきたりして、送る前より曲が短くなったという(笑)。ほかにも私のボーカルが引っ込んでいたり、エレクトロっぽい音を入れていたのがほぼカットされたり、全然違う曲になっていて。こんなに変えてくるのかと衝撃を受けました」



日本人どうしのコラボでは考えがたい大胆さだが、それはスティーヴンが真剣に向き合った証拠でもあり、3人も自分たちでは絶対作れないサウンドを爆笑しながら聴いたという。こういうときに戸惑うのではなく、“もっと大胆にいこう”とイージーゴーイングに歌ってしまえる逞しさも、カメレオン・ライム・ウーピーパイが求められる理由かもしれない。

3人がもともと思い描いていたのは、彼らが好きなラモーンズ(曲名の元ネタはもちろん「Sheena Is a Punk Rocker」)やクラッシュに通じる、ポップなパンクソング。「狂気的なキャッチーさにしたい」というChi-の提案から「パッパッパパー」という陽気なコーラスが添えられ、当初はトラック自体もラモーンズっぽいノリだったという。そこにスティーヴンの解釈が施されることで、メタルやミクスチャーロックに片足を踏み入れたラウドな曲調へと大転換したわけだが、最終的にはポップさを再度ミックスすることで、両者のカラーとパンク精神が共鳴し合う一曲となった。


以前、TCTSと組んだ「Rich Girl」でのハウスサウンドも一大チャレンジだったそうだが、そのときはサウンド面とは別に、こんな興味深いリクエストがあったという。

「日本語を半分入れてほしいとお願いされて。それも、寿司とか富士山みたいな海外にウケそうな言葉ではなく、リアルなものにしてほしいとのことだったので、私が普段から考えていたことを歌詞に込めることにしました。今は日本語が求められているんだなと思ったし、本人も日本のカルチャーが好きだと話していたので、わざとらしいのは嫌だったのかもしれないです」



ある時期までは洋楽に憧れたり、海外志向を打ち出したりするアーティストやバンドの多くが英語で歌い、そうしなければ世界で通用しないという風潮があった。しかし近年は、K-POPやラテンポップが母国語で歌いながら世界中のチャートを席巻しているように、非英語圏のポップミュージックを世界中の人々が楽しむようになり、自分たちのアイデンティティと向き合い、母国語で歌うほうがユニークだと受け止められるようになってきている。

また、最近の海外シーンでは、ハリー・スタイルズロザリアからインディーの音楽家に至るまで、日本語や日本のカルチャーに言及した作品が目立つ。そのことも踏まえると、「日本語が求められている」というのは、あながち気のせいや勘違いでもないのかもしれない。



それはさておき、海外での好評価について「日本に住んでいるので、自然にやれば日本っぽい要素が入ってくる。そこを面白がってもらえているならありがたいです」とChi-は語っているが、実際のところは本人たちもピンと来ないようだ。

真相は知る由もないが、もし何らかの理由を見出すとすれば、我が道を行くことを恐れぬ勇気こそが、狭い日本を飛び出すための突破口なのかもしれない。そして、その勇気は、カメレオン・ライム・ウーピーパイの圧倒的に突き抜けた個性ともつながっている。

「海外の方と接しながら思ったのは、私たちの人気があろうがなかろうが関係なくて、純粋に曲のよさを認めてくださっている感じがするんですよね。みんな周りの評価ではなく、自分がカッコイイと思うかどうかで判断している。自分たちもそうありたいし、今はすごく可能性を感じています」



Chi-は海外でライブすることが近い将来の目標だと語っていた。そんな3人にとって、洋楽フェスであるサマーソニック出演は大きな財産となるだろう。最後に意気込みを聞いた。

「実は3年前、『出れんの!? スパソニ!?』に応募したんですよね。3人で一度行ったことがあって、そのときも自分がステージに立っている光景がリアルに想像できたので、メチャクチャ楽しみだし気合が入ってます。(出演者だと)イージー・ライフはやっぱり気になるし、マネスキンのライブも近くで見てみたい。あとはいずれ、SXSWにも出てみたいですね。こないだスティーヴンさんとZoomで顔合わせしたときも、『タイミングが合えば一緒に出るよ、1曲だけでも行く』と言ってもらえたので、そのときが来たらぜひ共演したいなって思います」




カメレオン・ライム・ウーピーパイ
「Whoopie is a Punkrocker feat. Stephen Harrison」
配信リンク:https://CLWPRecords.lnk.to/WhoopieisaPunkrockerPR

SUMMER SONIC 2022
2022年8月20日(土)〜21日(日)
東京:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
大阪:舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
※カメレオン・ライム・ウーピーパイは8月20日(土)東京会場、21日(日)大阪会場に出演
公式サイト:https://www.summersonic.com/

カメレオン・ライム・ウーピーパイ公式サイト:https://lit.link/clwp

 
 
 
 

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