映画『エルヴィス』オースティン・バトラーとバズ・ラーマン監督が語る制作秘話

「ネガティブな感情は持たなかったね。彼女が言うことにも納得できたから」と、ラーマン監督はプリシラの不安に理解を示した。

プリシラが初めて映画を観た時、スケジュールの都合でラーマン監督は飛行機に乗っていた。監督は、深く感動したプリシラの反応を目の当たりにして、上映の場にいた警備員が涙を流したと聞いた時のことを回想した。

「飛行機が着陸して、胃がキリキリと痛んだことを覚えている。でも、プリシラから最高の手紙が届いた。そのおかげで、肩の荷が一気に下りたね」

バトラーにとっても、今回の役は彼の人生を大きく変えるものとなった。映画スターの仲間入りを果たすのにふさわしい名演とアカデミー有力候補の座だけでなく、いまではプレスリーの南部訛りがすっかり定着したようだ(これは本誌の取材中に判明した)。

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「ここから出る時、僕はまったく別の人間になっているだろうと覚悟しているよ」とバトラーは明かす。「責任という重荷を抱えながら、毎日恐怖を経験していたから。僕にとってエルヴィスと彼の家族、ファンはとても大切な存在で、彼らをがっかりさせたくなかったんだ」

「僕は、圧倒的なカリスマ性を持つエルヴィスという人と一緒に2年間を過ごすことができた。いままでの人生で、エルヴィスほど夢中になれた人に出会ったことはないね。以前からエルヴィスの超熱狂的なファンだったというわけではないけど、彼のことを知れば知るほど、彼の良いところや悪いところ、醜いところが好きになった。僕自身の性格も影響を受けたし、彼のおかげで多くのことが変わったよ」

バトラーの人生もまた、プレスリーによって揺り動かされたようだ。
映画『エルヴィス』は、日本でも現在絶賛公開中だ。

Translated by Shoko Natori

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