「Got Me Under Pressure」(1983年)

ビリー・ギボンズは、『Eliminator』からのヒット曲「Got Me Under Pressure」に登場する、高慢な麻薬中毒の女帝とどのように仲良くなったのか、決して説明しない。なぜなら、彼女からの強いプレッシャーがあったからだ。彼にできるのは、彼女の好みに合わせてフランス料理や美術館に付き合い、ロンドンフォグのレインコートを着て車の中でセックスすること。曲のブリッジ部分で彼は彼女との別れを決心するものの、告白すれば彼女に殴られて道端の溝に捨てられるだろう、と想像する。しかし全ては、ZZトップが1983年に作り上げた妄想に過ぎない。「誰もが、『Got Me Under Pressure』は俺のガールフレンドについて書いた曲かと尋ねる」とギボンズはスピン誌に語った(1985年)。「ガールフレンドでなければ、いったい誰だと聞かれる。幸い俺たちには、歌に出てくるようなプレッシャーはない。たぶん俺たちは、いいタイミングで街を出たからだろう」とギボンズは言う。最初のレコーディングはギボンズと共作者のリンデン・ハドソンで進められ、ハドソンがベースとシンセサイザー(それからドラムマシン)を担当した。ライブではギボンズとヒルが交互にヴォーカルを取り、フロイトをも困惑させるような三つ巴のねじれた関係を表現している。—K.G.



「Legs」(1983年)★

『Eliminator』からの3rdシングルで、煌めくシンセサイザーとラジオ受けするサビを徹底的に盛り込んでいる。ゴリゴリで力強い「Sharp Dressed Man」や「Gimme All Your Lovin」とは一線を画し、むしろヒューイ・ルイスに近い。あくどいほどコマーシャルでキャッチーに徹した「Legs」は、トップ10入りしたZZトップの3作品中の1曲となる。スピン誌のインタビュー(1986年)で曲の成り立ちを振り返った時のビリー・ギボンズは、完全に作家のようだった。「ロサンゼルスを車で走っている時に、ひどい土砂降りに遭った。すると道路の脇に、リアルに可愛い女の子が立っていた。通り過ぎた後で“停まった方がいいかな”と考えた。Uターンして乗らないかと誘おうとしたが、引き返す前に彼女の姿はなかった。“彼女には脚があり、使い方を心得ていた”ということさ」とギボンズは語った。印象的なシーンだ。—S.V.L.



「Rough Boy」(1985年)

アルバム『Greatest Hits』のライナーノーツによると、バンドはプロト・インダストリアルのパワーバラード「Rough Boy」を、「ある冬の寒い日にテキサス西部の荒野で書いた」としている。ギボンズがハスキーな声で後悔の念を優しく歌い、自分の誤った振る舞いを理解しようとする。そして泣きのギターに乗せて、「俺はラフな男だ」と反省する。ZZトップの三人は、テキサスブルースとニューウェーブの融合を実現し、ダスティ・ヒルによる心揺さぶる幽玄なキーボードが、ギボンズのエモーショナルな最高のギターソロを引き出した。ギボンズはスピン誌のインタビュー(1985年)で、ZZトップがバラード曲を書くにあたって“ラフ・ボーイ”はどうしても必要な存在だった、と述べている。「“ZZトップのファンに、どうしたら美しく豊かなサウンドを受け入れてもらえるか”ということから、彼が登場した。俺たちが素敵な音楽を奏でるには、ラフな男が必要だったのだ。そこで“彼”が誕生したのさ」—K.G.



From Rolling Stone US.




ZZトップ
『RAW』
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詳細:https://wmg.jp/zztop/

Translated by Smokva Tokyo

 
 
 
 

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