DJプレミアが語る、どれだけ時代が変わってもヒップホップが愛され続ける理由

デレク・ジーターとの交流

ーDJプレミアといえば、サウンドスケープを作り出すことができるプロデューサーというイメージが強いです。使用する音色も豊富ですね。これは、いったいどこから生まれるものなのでしょうか?

俺はただ、愛してやまない数々のヒップホップクラシックを研究しているだけなんだ。俺が若かった頃は、そのサウンドがカッコよくて、身のあるアルバムを作ることができれば、いろんな手を使ってそれを完成された一連の作品に仕上げることができた。でも、いまは、シングルをリリースすることがすべてだ。それでもアルバム制作という段階までたどり着くことができれば、デ・ラ・ソウルのようなアーティストたちは一貫性のある作品を作ることができた。スキットを発明したのはデ・ラ・ソウルなんだ。それ以来、誰もがスキットを取り入れる時代が来た。ヒップホップには、曲と曲をつなぐスキットのようなものが無数にある。だからこそ、俺はヒップホップが大好きなんだ。勝者を決めるコンテストのようなものだ。俺は、すべてのリスナーをファンにしたい。だから、俺たちを支えて愛してくれるファンのことを考えながら作品を作っているし、それができると信じている。ファンが期待するものを与え続ける——それが俺の責任だと思っている。もちろん、時代とともにヒップホップから離れていくファンがいることもわかっている。でも、俺自身がヒップホップに飽きることはない。ヒップホップを愛しているから。要するに、食事をしに行く場所が増えただけなんだ。お気に入りのメニューは変わらない。

ーディアンジェロの「Devil’s Pie」を手がけたあなたがシングルについてそのように思っているのは興味深いですね。

シングルを作っている時は、いつもそれ以外に10〜12曲を同時進行で作っているんだ。もちろん、そのうちのどれをシングルにするかも意識している。だから、俺が手がけたシングルには、そういった目的意識が一貫してあったと思う。たとえば、(ノトーリアス・B.I.G.が)B面として「Unbelievable」をリリースしたことがあった。彼らはストリートでもラジオでも人気を博していたから、B.I.G.やパフ(・ダディ)にとってはいい意味での変化だった。ラジオで曲がかかるようになっても、彼らはストリートがリスペクトしてくれる音楽を守り続けたかったんだ。好き嫌いがはっきり分かれるラジオ向けの曲を作ったとしても、ストリート向けの曲にはこうしたリスペクトが欠かせない。だからこそ、それを表現して、いい作品を作る。俺は、いまもこうしたことを考えながら音楽を作っているし、それがヒットを続けられる理由かもしれない。そういう意味でも、レミー・マーのアルバムは俺にとって特別な意味がある。もし俺にDJを任せてくれるなら、間違いなく使うね。ラスベガスで行われるデレク・ジーターのパーティも大好きだ。毎回、デレクには1997年のヒット曲をリクエストされるんだ。





ーあのデレク・ジーターがラップを聴くんですか?

もちろん。デレクは最近のラップを聴くし、青春時代に流行ったヒップホップクラシックも知っている(訳注:ジーターは1974年生まれ)。いまは亡きDMXの少し前の時代のラップも知っているから、ヒップホップにはかなり詳しい。ラフ・ライダーズも知っている。「(パーティでは)この曲はぜったいに外さないでくれ」と言われるんだ。(YGの)「Toot It and Boot It」も知っている。



Translated by Shoko Natori

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