フェンダー談義、ライブMCの苦労話―Jからリンジーに聞きたいことはありますか?J:なんで(フェンダーの)ジャガーを弾き始めたの?
リンジー:フェンダーがあそこまで主流になる前から、自分はフェンダーを弾いていたんだ。両親の家の庭の芝を刈るバイトをしたり、メリウェザー・ポスト・パビリオン(メリーランド州にある屋外円形劇場)でバイトしたりして、ずっとジャガーを買うために貯金していたんだ。高校2年生くらいでやっと買うことができたよ。以前から音がかっこいいと思ってた。ジャガーのスイッチに関して、自分はまだまだ理解が足りないんだけど、昔から魅了されていた。シューゲイズも大好きだし。それにジャガーの見た目もかっこいい。
J:かっこいいよね。俺がギターを買った時も、見た目ではジャガーの方が良かったけど、演奏はジャズマスターの方が良かったからジャズマスターにした。
リンジー:ジャズマスターもやばいよね。自分はジャズマスターの世界に関してはまだビギナーなんだけど、大好きだよ。
Photo by Kazma KobayashiJ:ピックアップが3つある、変な新しいモデルを知っているかい?
リンジー:ノヴェンタでしょ? 自分もよく分からなかったんだけど、弾いてみたら大ファンになった。
J:そりゃいいね。
リンジー:すごくかっこいいよ。音もすごくいい。できることなら、ずっとそれを弾いていたいくらい。自分はチューニングに時間がかかるから、ギターのテクニックをもっと向上させたい。ステージに立っているときも観客に何を話せばいいのか分からなくて。
J:俺だってそうだよ。
リンジー:だよねー!!
J:ステージに立つとすごく緊張して、すらすら喋れなくなる。だから、何かしらのノイズを出した方がいいと思って、ギターのチューニングをするんだ。
リンジー:ペダルをONにしたままでやるの?
J:ああ、ライブ中にノイズがしている状態をキープするためにやってるんだ。音が出ない状態でチューニングをやるのは怖いよ。
リンジー:自分はそうやって(音を出さずに)チューニングしてた。だからチューニングにすごく時間がかかって、それでも音を出すと外れていたりして。気が短いのか、お客さんが待っているのに、悠長にチューニングしている余裕がないんだよね。それにステージに立っているときは、自分から何か言わないと、「金返せー!」とか言われそうな気がして。
J:まったくだよ。クックックッ。
リンジー:だから何か言わないといけないと思って考えるんだけど、何も思いつかない。
J:俺は昔、ライブ中に「サンキュー」っていうサンプルを作ってループさせて、ペダルから出していたことがあったよ。曲と曲の間にペダルを踏んで「サンキュー、サンキュー」って音をずっと出してた。
リンジー:アハハハ!!!
J:お客さんは後半、頭がおかしくなりそうになっていたけど、楽しんでくれたと思う。
リンジー:それはいいね。マイクを通してやるの?
J:ギターを通してだよ。アンプに入れて。マイクに向かって「サンキュー」と言ってサンプルにしてから、ギターを弾いたときにアンプからそのサンプルが出るようにした。
リンジー:この前スペインでライブをやったときに、お客さんには全く意味が通じないことを言っちゃったんだ。でもステージ上から何か言わないといけないと思って。地元の友達たちには絶対ウケるやつなんだけど、スペインのお客さんには何のことだか全く分からなかったみたいで完璧にシラけた。「髪の毛や身体の毛を全部剃って、ステージ上で生の七面鳥みたいなポーズになったら、生の七面鳥に見えるんだよ」って言って、地面にそうやって寝転んだんだ。
J:クックックッ。
リンジー:足を身体の中にしまい込んで、羽を突き出して、「ターキー・タイム(七面鳥の時間)だよ!」って言った。でも観客は全くのノー・リアクションだった。
J:アンディ・カウフマン風だね。
―おふたりともMCには、結構苦労しているんですね(笑)。(筆者註:この後リンジーはWHITE STAGEで簡易版ターキー・タイムを披露するも撃沈した)では、最後に日本のファンに何か言いたいことはありますか?リンジー:音楽を聴いてくれてありがとうってことかな。日本に来ることができて嬉しい。フジロックに出演できるバンドはあまり多くないと思っているから。少なくとも、自分の周りでは、来日できるバンドや友達ってそんなにいないんだよね。だから今回日本に来ることができたのは驚きだったし、嬉しかった。日本は最高だし。
―Jが、そんなに緊張しているとは思わなかったので、ちょっと驚きです。J:そうなんだよ。
―今日は「フジロ〜ック!」と叫んでいただければ……。J:うーん。それなら、今から酒を飲み始めた方がいいだろうな。
全員:アッハッハ!!!
この後、屋外での撮影となり席を立った。ふたりは歩きながらMC苦手話の続きをし、それが終わるとアンプやらケーブルやら機材についての話を撮影中もずっとしていた。にこやかに、楽しそうに。
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