森カリオペが語る、クリエイティブの源泉と活動における哲学

―「冥界のラップシーン」という言葉が出ましたが、日本のものに限らず、影響を受けたカルチャーについて教えてください。

カリオペ:アニメやイラストといったものにとても興味がありますね。YouTubeで日本の音楽を知りましたが、日本のインターネットラップシーンは私にとってまるで隠れた宝物というか...当時、日本のネットラッパーのほとんどが作品を投稿していたニコニコ動画から発信された、いわゆる「日本のネットラップ」にとても興味を持ちました。2000年代後半から2010年代前半にかけて、ニコニコ動画はとても人気がありましたよね。日本のネットラップのシーン出身の素晴らしいミュージシャンがたくさんいたので、私もすごく興味を持ちましたし、音楽の好みではかなり影響を受けていると思います。もちろんアメリカのラップミュージックも好きです。

―ラップ以外、例えばアニメや映画といったカルチャーから影響を受けたものはありますか?

カリオペ:アニメだと、ガイナックス作品や、ガイナックスから独立したスタジオトリガーの作品が大好きです。アクションや動きの多い、本当にクレイジーな作画のアニメが大好きで、私の性格やラップスタイルにも影響していると思います。映画に関して同様です。アニメ映画でないなら、たぶん...『プリズン・ブレイク』や、そういった類の映画やテレビドラマ、例えば『アルカトラズからの脱出』や『ショーシャンクの空に』の大ファンです。刑務所を舞台にした映画がとても好きなんです。それが自分の音楽にどれだけ反映されているかはわかりませんが、好きなアニメや映画が自分の音楽に影響を与えているのは確かですね。私が曲中で語るストーリーの中にはこういった作品に関連しているものもあると思います。自分の「心の牢獄(メンタル・プリズン)」から抜け出す(脱獄する)方法を見つけることは、本当に大切なことだと思うんです。私の音楽では、自分自身との戦いや精神的抑圧についてもテーマとして数多く扱っています。

―とても興味深いですね。ちなみに歌詞を書くときに心がけていることは何ですか?

カリオペ:歌詞を書く時は、自分だけでなくリスナーにも共感してもらえるような曲を作りたいと考えながら書いています。自分自身の葛藤や心の監獄について考えます。私と同じようなことを感じている人が聴いて楽しめる曲にできるよう歌詞を書いています。私自身、常に不安を抱えていたり、自分の将来について心配になったりすることがあります。ですが、あまり私自身の話や感情に特化しすぎず、普遍的なものになるよう心がけています。そうすることで曲を聴いてくれる人たちとお互いの気持ちを共有して理解しあえるので。

Rolling Stone Japan 編集部

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