ガル・コスタが77歳で死去、ブラジルの女性歌手でトロピカリア運動を牽引

ガル・コスタ(Photo by Manchete/Pictorial Parade/Getty Images)

1960年代後期から70年代にトロピカリアの旗手として活躍したブラジルの女性歌手、ガル・コスタ(Gal Costa)が11月9日(現地時間)に亡くなったと、彼女の広報チームが発表した。享年77。死因は明らかにされていない。

サンパウロに在住していた彼女は、今年9月に右鼻腔のしこりを取り除く手術を受けたあと、音楽フェス「プリマベーラ・サウンド」などの出演を11月いっぱいまでキャンセルしていた。ホームページに掲載されているツアー日程によると、12月にサンパウロのステージに復帰する予定だった。

ガル・コスタ(本名:マリア・ダ・グラサ・コスタ・ペンナ・ブルゴス)は1945年に北東部の都市サルバドールに生まれ、10代でボサノバに触発され、カエターノ・ヴェローゾと出会い音楽活動を開始。1967年、彼との共作で1stアルバム『Domingo』を発表。その後はマリア・ベターニア、ジルベルト・ジル、トン・ゼーとともに1960年代後半に勃興したブラジルのトロピカリア(トロピカリズモ)芸術運動における第一人者として活躍した。1969年、彼女の名を冠したソロ・デビュー作『Gal Costa』は、トロピカリズモの代表作とみなされている。

その後も数々のアルバムを発表し、国民的シンガーとしてブラジル音楽シーンの頂点に立つ。1979年にスタートしたショー「ガル・トロピカル」は同国における観客動員記録を樹立。来日公演も多数行っている。

盟友のジルベルト・ジルは、「私の"妹"ガル・コスタの死は非常に悲しく、動揺している」とツイート。ブラジル大統領に選出されたばかりのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ氏は、コスタと抱き合う写真をInstagramに投稿し、「世界最高の歌手の一人であり、ブラジルの名前とサウンドを地球全体に届けた」「我が国は......今日、偉大な声の一人を失った」とコメントを寄せている。

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