そう熱く語る窪塚は、人間の「性格」ですら体内微生物の割合によって決まると考えている。
「僕が僕としてあるための体内微生物のほとんどが腸の中に棲んでいて、人それぞれ体内微生物の割合が微妙に違っている。だからこそ人は千差万別だし、逆に同じ釜の飯を食っていると性格や顔まで似てくるのは、腸に棲む体内微生物の割合が同じになってくるからなんじゃないか?って(笑)。空気中の酸素と同じように、体内微生物も目に見えないものだから、つい疎かにしてしまいがち。でもそれがないと人間は生きていけない。逆手に取って、そんな体内微生物に興味を持って大切に育てていけば、より健康で若々しくいられると思うんです」
デュポンのZIPPOでアメリカンスピリットに火をつけ、煙をくゆらせながら微笑む窪塚。健康的な生活をしている彼にとって、タバコや酒はどんな存在なのだろう。
「いいものばかり摂っていればいいわけじゃなくて、バランスが大事。『発酵道』の寺田本家さんに取材に行ったことがあるのですが、普通の酒造では絶対に発生させてはいけないと言われている火落ち菌でさえ、排除することなく共存させていたんですよ。例えば朝に納豆を食べた人は、酒蔵の見学ってできないはずですけど、寺田本家は俺たちが何を食べて来たかも聞かないし、ヘアキャップの装着なども義務付けてない。『納豆菌も火落ち菌も存在しているのに、どうして大丈夫なんですか?』と思わず尋ねたら、『全部いるからですよ』って24代目の寺田優さんが言うんです。つまり火落ち菌が増えればそれを食べる菌もいるし、納豆菌が増えたらそれを抑える菌もいる。そうやって400年もの間ずっと『調和』しているのだと」
スナックばかり食べていても、逆に過激なほど健康志向になっても、どちらもバランスが悪い。この世界も自分自身の体の中も、そうやって「調和」を保つことが重要だと、この時の経験から窪塚は思い至った。
「例えばジャンクフードを食べてしまった翌日は、体にいいものを摂るようにする。そうやってバランスを取っていけばいいんじゃないかって。タバコや酒もそう。それでリラックス効果を得られたり、ストレス発散になったりするのだったら、適度に嗜むのはかえって体にも心にも良いと思うんですよね」
何より自分の体や心の「調和」が取れていれば、人にも優しくなれる。「そういう人はハッピーなグルーヴが出ているから、そばにいる人もハッピーになって、世の中全体がハッピーになっていく。それが理想の形だと思うんですよ」そう目を輝かす。
「やっぱり、まずは『腸』。そこを整えれば心も満たされるし、運気もアップする。いつも楽しそうにしている人の周りでは楽しいことが起きるだろうし、その逆も然り。腸が運命を作っていくといっても過言ではないですよね。そう思えば、腸活で運命もコントロールできるんじゃないかって思います」
昨年、俳優としてデビューを果たした長男・愛流、現在の妻との間に長女・あまとというふたりの子どもを持つ窪塚。長男も長女もひとつ屋根の下で育てているばかりか、元妻と現在の妻の関係も良好だという。グッドバイブスが溢れた人間関係の鍵も、食生活にあるのだろう。
「妻が理解してくれているので、家の食事は添加物をなるべく避けて、自然由来の食材を摂るようにしています。そうやって家と、我々の『腸』を守ってくれているので、しょーもない揉め事も少なくなりますよね。息子もそれを見て育ってくれているところもあるので、無意識に影響を受けているんじゃないかなと思います」