追悼ジェフ・ベック ベストソング11選

1969年7月4日、ジェフ・ベック・グループのリーダーである英国出身のロックギタリストのジェフ・ベックが米国ロードアイランド州ニューポートで開催されたニューポート・ジャズ・フェスティバルの舞台でギブソンのレスポールを奏でる。(Photo by DAVID REDFERN/REDFERNS/GETTY IMAGES)

時にはナイフのように鋭く、時には夢のように甘い、ジェフ・ベックのベストソング11選を紹介する。ヤードバーズのファジーなリフから天才的なギタープレイが光るビートルズのカバーなど、78歳で世を去った伝説的なギタリストの魅力が詰まった珠玉の楽曲を振り返る。

ジェフ・ベックは、ジミー・ペイジやエリック・クラプトンなどの同世代アーティストと違って、「これぞ、ジェフ・ベック!」と言えるような代表曲を残さなかった。だが、ベックはそのキャリアを通じてロック、ひいてはロックギターの変化を探求し続けた。ロック界屈指のテクニカルなギタリストのひとりとして、ベックはいつもギターとの格闘を楽しんできたような印象を与える。英国文化が世界を席巻した“ブリティッシュ・インヴェイジョン”によってその名を世に知らしめたベックは、ポップスというジャンルにいつまでもとどまることを良しとしなかった。60年代後半に一世を風靡していたブルース・ロックに移行したかと思うと、次の10年間はよりハードなロックやフュージョンのサウンドを探求した。時代が変わっても、時にはナイフのように鋭い音を響かせ、時には楽曲のメロディーに楽しそうに寄り添うベックのスタイルは変わらなかった。ここでは、ベックの珠玉の楽曲を紹介する。

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ヤードバーズ「Heart Full of Soul」(1965)


1965年を代表する2大ファズギターリフは、たった数週間を挟んでレコーディングされた。ローリング・ストーンズのキース・リチャーズがファズ・エフェクターに足を置いてかの有名な「(I Can’t Get No) Satisfaction」のリフを弾く前に、ジェフ・ベックはシタールのような音色が特徴的な、60年代を象徴する「Heart Full of Soul」のギターリフをレコーディングしていたのだ。ギターソロでベックは、シンプルにメロディーをなぞる。26年後にもカート・コバーンがやってのけたように、まさに失敗知らずの鉄板プレイだ。— B.H.

ヤードバーズ「Jeff’s Boogie」(1966)


「誰もが『Jeff’s Boogie』を知っている」と、かつてギタリストのスティーヴィー・レイ・ヴォーンは語った。「だが、実はこの曲の原曲がチャック・ベリーの『Guitar Boogie』であることを知っている人は誰もいない」。たしかにベックは、この曲の“共同作曲者”としてベリーに感謝しなければいけないのかもしれない。それでも、時代の先を行く疾走感や跳ねるようなハーモニクス満載のベックのバージョンを聴いて原曲を思い浮かべることはほぼ不可能。「Jeff’s Boogie」は、もはや原形をとどめていないのだ。— B.H.

BY ANGIE MARTOCCIO, BRIAN HIATT, ANDY GREENE, DAVID BROWNE

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