マネスキン『RUSH!』全曲解説 2023年ロック最大の話題作を徹底レビュー

 
15.MAMMAMIA|マンマミーア

ここからは、既発のシングル曲をリリース順にまとめて収録。一旦「IL DONO DELLA VITA」でアルバムはフィナーレを迎えた感があり、アンコールみたいな印象を受ける。その1曲目は、ユーロヴィジョン・ソング・コンテストから半年が経った2021年10月に登場。ブレイクはしたものの、自分たちの意図がなかなか正確に伝わらないことへのフラストレーションをここに吐き出して、事実上3rdアルバムに向けて口火を切った。



16.SUPERMODEL|スーパーモデル

昨年5月にシングル・リリースされたこの曲は、4人が世に送り出した、マックスとのセッションの最初の果実。ジャスティンとラミも曲作りに参加し、バンドの持ち前のポップセンスを引き出す結果となった。マックスたちとのセッションで長く滞在したLAの町はまた、彼らに曲のテーマをも提供。表向きはグラマラスながら裏にはダークネスとサッドネスを秘めた人々の象徴として、スーパーモデルを選んだ。「GOSSIP」然りで、アメリカへの複雑な視線を浮き彫りにしている。



17.THE LONELIEST|ザ・ロンリエスト

イタリアでは昨秋、2018年発表の「Torna A Casa」以来のナンバーワン・シングルとなったこのバラードの裏には、意外なインスピレーションがあった。多くのロック・ミュージシャンに愛されている、BBC制作の傑作ドラマ『Peaky Blinders』だ。主人公トミー・シェルビーが、“自分が死んだ時には……”というフレーズから始まる手紙を書くシーンに着想を得て、手紙形式の歌詞を綴ったのだとか。「TIMEZONE」と同じく、遠く離れた恋人に宛てられているようだが、遺書みたいな思いつめたトーンにドキリとさせられる。

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18. TOUCH ME|タッチ・ミー

オーラスの日本盤ボーナストラックは、昨年8月の来日公演でザ・フーの「My Generation」とのマッシュアップで披露し、強烈な印象を刻んだ1曲。「MAMMAMIA」アナログ盤のB面に収められていたガレージロック・ソングだ。デモ・バージョンとされているだけにローファイな仕上がりだが、その後レコーディングし直した形跡はなく、ライブでプレイするたびに、その夜限りのパーフェクトなバージョンが生まれるという、不思議な立ち位置を維持している。




マネスキン
『RUSH!』
2023年1月20日リリース
再生・購入:https://ManeskinJP.lnk.to/RushRS

初回限定盤:2022年の来日時の模様を収めたスペシャルフォトブック、初来日公演(8月18日:豊洲PIT)のライブ盤CDを付属
購入:https://SonyMusicJapan.lnk.to/Maneskin_RushfeRS

 
 
 
 

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