STARKIDSが生んだ祝祭空間としてのレイブ、満を持して日比谷野音ヘッドライナーへ

「ハッピーなトランス状態」を生む祝祭空間としてのレイブ

それは、彼ら自身がSTARKIDSのファンであるかのように振舞っているからかもしれない。楽しそうに歌って自由に踊るし、エアーでバット振り回すし、ライブ中に何度も写真撮るし、自分たちの振る舞いに対し自分たちが魅了されてエンジョイしている。その点ではリスナーと等身大で近い存在なんだけれど、とは言え私たちの側にただ降りてきているだけではなく、同時に何かキラキラしたカリスマ性も発している。いわば、近くて遠い存在。だからこそ「群れている」だけで絵になるし、ステージで楽しそうにうろうろしているだけでも(もちろん実際はちゃんと歌ってたりもするのだけれど)ライブが成り立つのは本当にすごいと思う。極端な話、彼らが楽しそうにして幸せなピースサインを見せてくれればライブは成立する(ような気すらする)。私たちは、そういうSTARKIDSを観に行っている。不思議。



この企画が<STAR RAVE>と銘打たれているのも面白い。この日もゴリゴリのUKドリルのビートを繰り出してきた曲があった通りSTARKIDSのサウンドにはヒップホップに色々なエレクトロニックな音が溶け込んできているのだけれど、そういった音楽性の話というよりはあくまで「場」としてのレイブを作ろうというイメージ。「ハッピーなトランス状態」を生む祝祭空間としてのレイブ。もちろん、STARKIDSが推奨しているのはストロングゼロ。ハイパーなビートながら、ちゃんと歌メロが乗っているのも強い。なぜなら、彼らはただトランス気分にアガって騒ぐだけの場を提供しているわけではないし、何よりSTARKIDSとしての求心力を高めに来ているわけだから。「君らが見た事ない場所へ、聞こえる空から星の声♪」シンガロングが起こる“STAR ISLAND”。音源聴くよりもライブで百倍楽しませてくれるクルー、それがスタキ。

Rolling Stone Japan 編集部

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