フィービー・ブリジャーズ来日直前取材 日本と「Kyoto」の記憶、同性愛嫌悪への怒り

ボーイジーニアスとニルヴァーナについて

―ボーイジーニアスが最近、米ローリングストーン誌の表紙を飾りましたよね。ニルヴァーナのオマージュが大好評でしたが、あれは誰のアイデアだったのでしょう?

フィービー:ルーシー(・ダッカス)の友達で、彼女の地元ヴァージニアでスタイリストをやってる子がいて、その子がニルヴァーナの写真を送ってくれたのがきっかけなんだよね。ローリングストーンとは別の雑誌の写真だけど、メンバー全員が腰に布を巻いて映ってる写真で。それで表紙の話をもらったときに「Rolling Stone/Nirvana」でググったら、あのスーツ姿の写真が出てきて『めっちゃいい!』と思って。表紙のスーツ姿とは別に、腰巻姿の撮影もしてるんだよ。いや、マジで楽しかった!



―あなたはカート・コバーンのポジションを担ってましたが、ニルヴァーナやカートについては、どのような思いがありますか?

フィービー:昔から大好きで……(背景で啼き声)、ごめん、今オーストラリアの公演を散歩してる途中だから後ろで動物が啼いてて(笑)。昔からカートに夢中で、それこそ最初にギターを弾き始めた頃もニルヴァーナの曲のコピーするところから入ったしね。メロディが本当に独特だなって。それが今では、デイヴ・グロールと友達になれたんだからね。あのカバー写真の話をしたらめっちゃウケてたよ(笑)。

―3月末リリースのアルバム『The Record』から先行公開された「Emily I’m Sorry」は、最近のフィービーさんのライブでも披露されているみたいですね。どのようなことを歌おうとしている曲なのでしょう?

フィービー:歌詞のなかに書いてあるそのまんまの歌なんだけど、自分の大切な人達と会えないせいで一番最悪のときの自分の顔が出てきちゃったっていう……めちゃくゃエモーショナルな曲だよね。だから、ルーシーとジュリアン(・ベイカー)っていう2人の友人が一緒に歌ってくれるのは心強い。自分のソロのライブで歌ってるのもいい感じだし。ボーイジーニアスの新作を楽しみにしてる人達のためにもね。



―カバーストーリーでも言及されてましたが、フィービーさんとルーシー、ジュリアンはかなりの読書家らしいですね。最近の一冊を教えてもらえないですか?

フィービー:最近は、ジョージ・ソーンダースの『Liberation Day: Stories』にハマってるよ。もともとソーンダース作品のファンで、『リンカーンとさまよえる霊魂たち』とかめちゃくちゃ好きで、コロナ渦に読み返してまたハマったんだよね。『Liberation Day: Stories』は最近になってから出た短編集なんだけど、すごくいいよ! おすすめ!

―本といえば、架空のロックバンドの物語を描いた小説『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』のドラマ版が、Amazon Primeで3月初春から配信開始されますね。フィービーさんも音楽に携わっているそうですが、この作品について話を聞かせてもらえますか。

フィービー:それがまだ観れてないんだ(笑)。私が『Punisher』を録音したスタジオ(サウンド・シティ)で、同時期に向こうのスタッフもずっと作業してたんだよね。つまり、だいぶ前から準備してたわけで、長い時間をかけてようやくリリースに漕ぎつけたって感じなんじゃないかな……。私がブレイク・ミルズと一緒にサントラ用の曲を書いたのも相当前の話だしね。ようやくあの曲をみんなに聴いてもらえるのも嬉しいし、ドラマのほうもすごく楽しみ!



―ちなみに、原作は読みましたか?

フィービー:いや、だいぶ前に手をつけてはいるんだけど、いまだに読破できてなくて(苦笑)。途中まで読んで、正直、これは自分には重すぎると思って(笑)。暴行とかヘヴィな話が出てくるでしょ。自分にはちょっと無理かもと思って、一旦ドラマってフィルターを通して観てから判断しようって(笑)。そういう意味でも、すごく楽しみにしてるよ。

Translated by Ayako Takezawa

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