フィービー・ブリジャーズ来日直前取材 日本と「Kyoto」の記憶、同性愛嫌悪への怒り

「F**k Margaret Court」と同性愛嫌悪への怒り

―2月8日のメルボルン公演で、「F**k Margaret Court」のコール&レスポンスが巻き起こったと聞いています。動画も見ましたが最高ですね。

フィービー:アハハハハハ!

―どのような意図や背景があったのか聞かせてください。

フィービー:ステージに上がるまで、マーガレット・コートがどんな人か知らなかったんだよね。そしたら友達が「元テニス選手だよ」ってことで、私はそもそもスポーツとか全然詳しくないんだけど、ググってみたら「何この女、超クソビッチじゃん!」と思って(笑)。頭悪すぎ(笑)。それでステージでネタにしてやったの(笑)。

アメリカは複雑な歴史があるから、それを再検証した上でかつての名士の名前を冠した地名だとか「●●メモリアル」的なものが廃止されたり改名されたりが割と頻繁にあって。それってすごくいいことだよね。最近ではブラック・ライヴズ・マターが一つの大きなきっかけになってたりもして、その流れが他の国や地域にも広まっていったらいいなって思う。過去にどれだけ偉大なものとして認識されていたとしても、現代的には決して相容れない価値観を公的に認知されてるものとして掲げるべきではないと思うから。

―そのメルボルン公演でのMCで、「“Hate”という感情が自分自身を守ってくれる」と語ったそうですが、フィービーさんは「F**k」という言葉もお守りのように使ってきた印象です。公式サイトのURLにも入ってますよね。「Hate」と「F**k」に対する自分なりの哲学について聞かせてください。

フィービー:というか、私自身はわりとあっけらかんとした性格なんだよね。でも、この何年かで自分自身を守る術を学んできた。それに私は単純に「ねえねえ、ちょっと聞いてよ、マジでキレてるんだけど!」ってレベルで、人と繋がり合うのも楽しいなって思えるタイプで。複雑で根に持った怒りとかじゃなくてね。

だから、オーストラリアのマーガレット・コートってオバサンに対しても、クィアの権利を主張する者として怒りを感じるし、自分の母国であるアメリカがトランスジェンダーの人々や女性の権利をないがしろにしていることにも怒りを感じる。というか、アメリカの政治家全員、基本嫌いかも(笑)。トランスジェンダーのキッズを虐げようとする奴らが嫌い(笑)、声を大にして大っ嫌い!(笑)。みんながあいつらをもっと嫌いになればいいのにって、何のためらいもなく心からそう思ってるよ(笑)。

あとはそもそも、怒りに理由なんて要らないと思うんだ。少なくとも自分のなかではそこまで明確化されてないもので、単にワーッて感情が襲ってくるみたいな、それって人々を動かすエネルギーにもなると思うから。私はしょっちゅう「F**k」って言葉を使うけど、半分はおふざけというか、「Yes」の言い方を変えた別バージョン的な?(笑)。「F**k」って素敵な言葉だよ(笑)。

―ちなみに、私たちが最近「F**k」と思ったのは、日本の岸田文雄首相が同性婚の法制化をめぐって「社会が変わってしまう」と発言したことです。

フィービー:うわ、何それ! マジでムカつくんだけど(笑)。

―この件について、何か一言お願いできますか。

フィービー:その日本の首相とやらに一言ね(笑)……「貴方様の仰るその社会とやらは、どうやら相当変わるべき必要があるみたいですね」って(笑)。「変わってしまう」じゃなくて「変えなければいけない」だろって(笑)。つか、何それ?(笑)。同性婚によって社会が変わってしまう? おー、いいじゃん、いいじゃん、変えたれって! こっちは社会を変えることを目的にしてるんだから! 旧石器時代の人間が作ったシステムに従いながら社会を変えるなんて、そもそも論として無理だから。

つか、びっくり、凄いね(笑)。そういう時代遅れのプロテスタントみたいな考え方の奴って、アメリカだけじゃなくて世界中のどこにでもいるんだね(笑)。マジでヤバいし! まさに「F**k」って言葉がピッタリだね(笑)。



―この話ができて本当によかったです。最後に、今回の来日公演がどんな内容になりそうか、抱負と共に教えてください。

フィービー:メチャクチャいい感じだから楽しみにしてて! バンドの演奏もビシッときまってきてるし、みんなで楽しくやってるよ。久々のライブで最初は緊張してたけど、今では余裕が出てきて普通に楽しんでる。その楽しんでるところに日本のみんなもジョインしてほしい! 今回、日本で初めて演奏する曲もあるしそれも本当に楽しみ。

―ソロでのツアー後は、ボーイジーニアスでの活動、テイラー・スウィフトのツアーも控えてると思いますが、2023年を自分にとってどんな一年にしたいですか?

フィービー:この勢いとテンションのままガンガンに突っ走っていけたら……今この瞬間を思いっきり楽しんでるし。ツアー中は友達に会えなくて寂しかったりするけど、あんまりそこで落ち込みすぎないように。テイラー・スウィフトとのツアーもほんと楽しみだしね! 自分史上最大のオーディエンスの前で演奏することになるだろうから、今年いっぱい本当に凄いことになってるなあって。それを思いっきり楽しみたい!




フィービー・ブリジャーズ「REUNION TOUR」

2023年2月18日(土)京都MUSE
開場 17:00 / 開演 18:00 ※Sold Out

2023年2月20日(月)大阪NAMBA HATCH
開場 18:00 / 開演 19:00
前売:¥9,150(1F スタンディング)/¥9,950 (2F指定席)

2023年2月21日(火)東京Zepp DiverCity
開場 18:00 / 開演 19:00
前売:¥9,150(1F スタンディング)/¥9,950 (2F指定席)

詳細:https://smash-jpn.com/live/?id=3824

Translated by Ayako Takezawa

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