変化を続けるマシュメロ・サウンド
―ポップ・パンクが好きだったんですね?
マシュメロ 今も好きだよ。それが音楽を好きになるきっかけになったんだ。
―音楽はいろいろなジャンルのものを聴きますよね。
マシュメロ 僕が好きなのは今の時代の音楽なんだ。今のポップ・ミュージック、今のヒップホップを聴くし、ニュー・ポップ・パンクとかニュー・メタルといったロックも聴いてる。一方で、テイラー・スウィフトの新作も好きだし、カントリー・ミュージックも好きだ(笑)。どんな音楽も同じくらいに好きなんだよ。でも車の中にいる時はポップ・パンクとメタルを聴くことが多いかな。
―それで、ア・デイ・トゥ・リメンバーのようなバンドともコラボをしているんですね。
マシュメロ そうそう! そういうことなんだよ。僕の最も好きなバンドの一つだし、彼らとのコラボも最高だったね。
―「Be Kind」でコラボしたホールジーも、元々はポップ・パンク好きですよね。
マシュメロ そうそう。だから共通する音楽の趣味があるんだ。
―アルバム『Shockwave』は、それまで3枚リリースしてきた『Joytime』シリーズとは全く違う作品になりましたよね。いろいろなプロデューサーとコラボをしているし、ラッパーの客演もあります。新たなフェーズに行った感覚がありますが。
マシュメロ その通りだね。『Shockwave』の制作に当たって、もう一枚『Joytime』を作りたいとは思わなかったんだ。『Joytime』ではおなじみのマシュメロ・サウンドを追求してきたし、それがまず目的としてあった。『Shockwave』では、おなじみのマシュメロ・サウンドを残しつつも、自分がプロデュースを通して学んで得たものをすべて形にしたかった。ちょうどそのタイミングで、808・マフィアと一緒にヒップホップの曲を作ってたんだけど、マシュメロ・サウンドと808・マフィアのヒップホップ・ビートは相性が良くてね。アルバムのオープニング曲「Fairytale」はビートがヒップホップなんだけど、それはコロナ禍前にヒップホップ・ビートばかり作ってたからなんだ。コロナ禍でアルバムを作るに当たって、自分がこの2年間で学んだものは何だろう?ってなった時に、Southsideを始めとするプロデューサーたちとのコラボがあったから、僕はそれをEDMに落とし込むことにしたんだ。
―コロナ禍からは大きな影響を受けました?
マシュメロ コロナ禍でツアーもストップしたから、トライ&エラーを試す時間がたっぷりあったのは大きいね。「Vibr8」という曲にしても、元々は「Shockwave」から派生して出来た曲で、それも時間がたっぷりあったから全く別の2曲にすることができたんだ。
―アルバムの曲作りはどのようにアプローチしました? どの曲にも共通するアプローチはありましたか?
マシュメロ 僕はアルバムを作ろうってなるたびに、どうアプローチを始めたらいいのかわからなくなる。だから考えるのをやめて、流れにまかせてみるんだ。このアルバムの場合、コロナ禍でずっと家にいて時間はたくさんあったから、今までで一番オーガニックに作ることができたアルバムになったと思う。
―アルバムの収録曲はサウンドのスタイルも、曲に込められた感情も、バリエーションの幅が広いですよね。
マシュメロ アルバムのどの曲も、どんなジャンルも、すべて僕がやりたかったことなんだ。クレイジーなダブステップをやりたかったからピーカブーに連絡したし、スリー・6・マフィアを昔から大好きだったからジューシー・Jに連絡したし、「Fairytale」はトラップが好きだからEDM・トラップの曲を作った。そのどれもが僕がやりたかったことをやっただけなんだよ。だから、腰を下ろしてさあ何をやろうかなんて考える暇はなかった。『Shockwave』はすべて僕の頭の中にずっとあった「やりたいこと」を、EDMアルバムとして形にしたものなんだ。
―スリー・6・マフィアが好きだから、ジューシー・Jが客演の「Hitta」が生まれたわけですね。
マシュメロ そうなんだ。ジューシー・Jとは前にも1曲一緒にやってるよ。だからこれもスゴくオーガニックなんだ。ジューシー・JにはFaceTimeで話したんだよ。「『One Hitta Quitta』っていう曲を覚えてるよね? 15年以上前の曲だけど、あの曲を使ったアイデアがあるんだ。許可をもらえるかな?」って、僕が作ったアカペラ入りの曲を送ったんだ。そしたら彼からかけ直してきて。「ヤバいね。でも俺にラップさせてくれないか」って言うから、僕は「もちろん」って答えたよ。それでジューシーのヴァースを乗せて、曲が完成したというわけだ。
―「Bad Bitches」でのミーガン・ジー・スタリオンとのコラボは、どのように生まれましたか?
マシュメロ あの曲はニッティ・グリッティと一緒に作ったんだけど、ほぼ完成していて、「Bad Bitches」っていうヴォーカル・タグを入れたいというアイデアもすでにあった。そこで、僕は実際のライブ・パフォーマンスを録って、それをサンプリングで入れたいと思ったんだ。リリックの内容的にも誰がそれに合うのかを考えつつ、いろいろライブを探してたら、Rolling Loudでのミーガン・ジー・スタリオンを見つけて。これは完璧だと思ったんだ。それをチョップしてニッティ・グリッティに送ったところ、これはヤバいってなったんだ。