自分で「歌うこと」について―『Shockwave』ではいろいろなプロデューサーとコラボしていますが、プロデューサーを選んだ基準は何かあったのですか?マシュメロ 僕がコラボするプロデューサー、アーティストはみんなそうなんだけど、まず僕がその人の音楽の大ファンだというのが前提にある。すでに友達の人もいるし、新たに友達になる人もいる。例えば、ジューシー・Jは昔からの友達だけど、サブトロニクスやピーカブーは新しい友達だ。だからこれは基本、友達とファミリーのコラボレーションになるね。
―「Back It Up」という曲はDJスリンクとのコラボですが、マシュメロの最初のライブはDJスリンク、スクリレックスとの共演だったんですよね。マシュメロ そうそう。DJスリンクはジャージークラブのゴッドファーザーだからね。それに僕の初期の曲にはジャージークラブの曲が多いんだ。僕の初ライブはDJスリンクとの共演だったから、今回一緒に曲を作れたのもスゴくオーガニックなことなんだ。この曲は制作もスゴく楽しかったしね。
―『Shockwave』はグラミー賞にノミネートされましたが、コラボしたプロデューサーたち、アーティストたちとはその喜びをシェアできましたか?マシュメロ 全員に連絡したよ! 電話かFaceTimeで連絡したんだ。うれしかったね。
―誰が一番反応しました?(笑)マシュメロ エプティックじゃないかな(笑)。「ママが聞いたらビックリするぞ! ママに連絡しなくちゃ」ってなってたから。このアルバムはコロナ禍に制作したもので、みんなが同じ状況の下、同じマインドで、「よし、クレイジーなダブステップを作ろう」とか言って一緒に作ったものだ。だから、どの曲も僕がいつも作る曲とは違うし、エプティックとの曲にしても、彼がいつも作る曲とは違うものなったと思う。グラミー賞にノミネートされたのは、僕のコラボレーター全員にとってうれしい驚きになったよ。もちろん僕にとってもそうだけど(笑)。
―アルバムでは何曲か自身でボーカルをとって歌っていますが、どういう時に自分で歌いたいと思いますか?マシュメロ 特に計画を立てたりはしないね。曲を作り始めてから、一瞬考えて、これは自分で歌おうかってなる感じさ。『Joytime III』では自分で歌おうと思って歌ってるんだけど、『Shockwave』ではあまり歌おうとは思わなかった。それで普通に歌わないで、ロボット風のボーカルにして歌ってるんだ。
―自身で歌っている曲「Shockwave」のエモーショナルなリリック、メロディはどのように生まれましたか?マシュメロ リリックは恋愛のことを歌っているんだけど、誰かと別れた時って、自分が想像してた以上にその別れが大きかったことに気がつくんだよね。メロディに関しては、ドロップで使うメロディと同じものを考えてる。ドロップのメロディを最初に考えて、そのメロディに合わせてリリックを歌うことが多いね。それで、フックはドロップも歌も同じメロディになるんだ。「Shockwave」はそういう作り方で出来た、自分でも最高に誇りに思える曲になったと思うよ。
―『Shockwave』のリリース後、アルバム収録曲を実際にライブでプレイしてきたと思いますが、お客さんの反応はどうですか?マシュメロ アルバムの曲はどの曲もライブでプレイするのは楽しいね。コロナ禍で作ったこと、その時の曲作りのプロセス、そういったものが僕にとってはスゴくスペシャルな意味を持つから。しかも、コロナ禍で作ってた時は、この曲をライブで実際にやるとか、このアルバムがグラミー賞にノミネートされるとか、そんなことは想像もつかなかった。そういったすべてのストーリーがあった上で、アルバムの曲をライブでプレイするから、スゴく誇りに思えるんだよね。
―コロナ禍が収束して、ツアーに戻った時はどのような感覚がありました?マシュメロ 自分が初めてツアーに出た時の感覚を思い出したよ。どのライブも興奮してたし、実際に起きてることが信じられなかった。だから、今こうしてライブができることに、以前にもまして感謝の気持ちを持てるようにもなったね。