尾崎裕哉が語る、父・尾崎豊の名曲「I LOVE YOU」をいまカバーした理由

―オリジナル曲についても訊かせてください。「僕がつなぐ未来」はアコースティックギターをかき鳴らして疾走する勇壮なイメージの楽曲ですね。

「僕がつなぐ未来」は、知り合いが新潟ローカルのドラマ(NST新潟総合テレビ「炊飯道-南魚沼篇-」)を作るということで、テーマ曲として書いたんです。主人公がわりと代々仕事を受け継いでいくっていう、自分とも重なるバックグランドがあるので、ドラマのテーマ曲ではあるけれど、自分にとっても良い曲になればいいなと思って書いた曲です。

―タイトルもそうですし、〈僕しか辿れない道があるから〉という歌詞が印象的で、今回のEPのコンセプトにも重なっているように思えます。表現者として未来への役割を意識しているところもありますか?

そういう風に取ってもらえると思いますし、そこは意識しました。今回収録されている2曲を作っている時期は、打ち込みとかをせずにアコギ1本だけに絞って作ろうと思ったいたので、この曲もギターだけで作りました。ギターとちょっとだけ4つ打ちのリズムと声が入ったデモ音源をトオミさんに聴いてもらって、そこから彼の想像でアレンジをしてもらいました。

―「迷わず進め」についてはいかがですか?

「僕がつなぐ未来」がドラマのオープニング曲で、「迷わず進め」は、エンディング曲として書いたんです。「僕がつなぐ未来」はオープニングということもあって爽やかに、「迷わず進め」はエンディングということで、しっぽりした感じで書きました。

―〈勝ち負けよりも自由なもの〉というのは、ドラマの内容に沿った歌詞ということでしょうか。

ドラマの中に出てくるフレーズから引用しました。そこに、〈好きなことを好きだといえる その笑顔を探している〉っていうフレーズを自分で足したんです。パズルを組み立てるような感じですね。

―カバーとオリジナルの4曲で、結果的に今のアーティストとしての意思が伝わってくる作品になっているのではないでしょうか。

そう感じてもらえて良かったです。ジャケットも含めて、想像以上に素敵な作品になったんじゃないかなと思います。

―ジャケットはどういうイメージですか?

これは、アートディレクターの渡辺(来)君と相談しながら作っていきました。彼がプレゼンしてくれたアイディアで、尾崎豊の「I LOVE YOU」のシングル盤の色彩の要素をもっと抽象化して、パッケージの中に入れて行った感じなんです。ただ僕が1つ彼に伝えたのが、「I LOVE YOU」は恋愛の曲と受け取られがちだけど、愛って色んな形があるよねって。ダイバーシティを意識したというのもありますし、僕にとってこの「I LOVE YOU」は、親へのリスペクト、愛、家族愛とか、敬愛を表す「I LOVE YOU」なんです。その多様性を表現してほしいということで、色んな形がある「I LOVE YOU」の文字を描いてもらいました。衣装も、シングル盤の「I LOVE YOU」で尾崎豊が着ていたものに似せた衣装なんです。そういうお膳立てはしてもらって、僕はポーズとか表情とかで自分を表現した感じですね。

Rolling Stone Japan 編集部

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