ちゃんみなが見せた素の姿、「大丈夫じゃない」と歌えるようになった理由

──本作の制作はいつ頃から行われていたんでしょうか。

ちゃんみな:クリアに言うと、この作品自体、私の20代前半をスタックしたくて。3、4年ぐらい前に書いた曲も入っているし、50曲近くあった候補曲の中からピックアップしていった感じで。もちろん最近作った曲もあるんですけど、ずっと作り続けてきたものを並べて、自分の20代前半どうだったのかを考えて選曲していきました。

──以前インタビューさせていただいた際、「10年単位で未来を計画している」とおっしゃっていましたが、20代前半をまとめたアルバムというのは計画の中にあったものなんでしょうか?

ちゃんみな:基本的にアルバムは、例えば20歳の私みたいな感じで、その年相応というか、その時にしか考えられないことを貯めていってるイメージで毎回考えています。その年々で状況も変わってきますし、コロナもすごい大きかったりして、思っていたより韓国でデビューが遅れていたり、いろんな状況があって。思っていた結果じゃなかったとかもちろん出てくるし、それでいろんなアップサイドダウンがあったんですけど、今のところやろうと思っていたことはできているなって感じです。

──『Naked』というテーマはいつぐらいに考えたものなんでしょう?

ちゃんみな:イメージは元々あったんですけど、『Naked』で固まったのはアルバムができるちょっと前、年末ぐらいだったかな。シンプルに今の私の気持ちがこうだったんです。

──その気持ちを具体的に聞きたいです。

ちゃんみな:さっき武道館で自信をなくしたって言ったんですけど、その後、海外のいろんなところに行って帰ってきて、「サマーソニック」に出演して久しぶりにオーディエンスに会う機会があったんです。そういう日々を通してどんどん自信を取り戻していったと同時に、オーディエンスに対する私の信頼が上がっていったんです。私に示してくれる意思だったり、私に見せてくれるパワーだったりとかが、自分が思っていたより強かったことに気づいて。そうしたタイミングで私が伝えたかったことを、横浜アリーナで表現しようと思ったし、アルバムはいろいろと紐付けて作っていったイメージですね。

──昨年はワンマンも行っていなかったり、表に出ることもそれまで以上に少ない年でしたが、オーディエンスへの信頼はどのように得ていったんでしょう。

ちゃんみな:「サマーソニック」出演が大きかったです。あの日、すごくびっくりしたんですよ。5年前、初めて出させてもらった時は、ちゃんみなという存在自体がすごくフレッシュで、“JKラッパー”みたいな肩書きが先走っていて。そういう情報だけ知ってる人たちが、私のことを見るケースが多かったと思うんです。その中でも、私のことを好きって言ってくれる子たちが小さく手をあげて観てくれていて。ただ、その時は私に手のひらを見せるってことが、恥ずかしいことだったんじゃないかなって自覚があるんですよ。

──多くのオーディエンスたちは、「ちゃんみな、どんなもんだ?」という気持ちで観にきているケースが多かった、と。

ちゃんみな:そういう経験を経て、去年「サマーソニック」に出させてもらった時、入場制限がかかるくらいのオーディエンスがいたんです。その人たちがみんな、私に手のひらを見せてくれてたんですね。それは、「THE FIRST TAKE」だったりいろんな影響があると思うんですけど、当時だったら絶対私に興味を示さなかったような、例えば年配の方だったりとか音楽オタクみたいな方だったり、フェス好きの方たちが、「ちゃんみな!」って応援してくれている。味方についてくれたっていうか、それがすごく私は嬉しくて。それと同時に5年前からいてくれた、小さく手を挙げてくれた子たちが自信満々に手を挙げて最前列にいてくれたんですよ。その子たちがまだいてくれて、この人数を引き連れてくれたこと、当時から一緒にやってきたダンサーの子たちとこの光景を観れていることなど、いろんな感謝の気持ちが込み上げてきて、それがすごく大きかった。信用したいって思ったんです。

──2023年3月3日のビルボードライブ東京のライブ(「Billboard JAPAN Women In Music vol.0 Supported by CASIO」)は客席との距離が近くて親密な感じを感じました。ちゃんみなさんも照れている感じがでていて新鮮でした。

ちゃんみな:ほんと近かったですよね(笑)。

──ステージ近くのテーブル席で観ていたんですけど、こちらも照れるというか。それくらいオーディエンスとの親密さが伝わるような雰囲気でした。

ちゃんみな:私、もともとMCとかでしゃべるのが得意じゃなくて、しゃべれなかったんですよ。ステージの上でしゃべるのは私にとって難しいことだったし、武道館でもMCは2、3回ぐらいしかできなくて。自分の気持ちをうまく伝えられなかったんですけど、信用ができたから、ありのままでいれるようになったなと思って。

──オーディエンスへの信用度が増したことによって、表現における変化もありますか?

ちゃんみな:すごくあると思います。よく笑うようになりました。

Rolling Stone Japan 編集部

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