瀬尾一三のアレンジ曲から読み解く、70年後半から80年代頭の音楽的な文明開化

麦の唄 / 中島みゆき

田家:中島みゆきさんの2014年の曲「麦の唄」。選ばれてる曲の中で、やっぱりみゆきさんと関わられる以前のものと以後のものって、ちょっとわかれるところがありますよね。

瀬尾:当然です。長渕さんとかチャゲアスとか徳永さんとか吉田拓郎さんもそうだけど、ある程度期間的に関わってきた人たちは、その人たちの個性のものを作っていくんだけど、突然1998年から中島さんメインになってしまったので、それはある意味、過去でやってきた自分の方向性とかを捨てるって言い方はおかしいけど、一旦そこでチャラにしようという考え方はありましたね。中島さんの音楽を作っていこうというところで、だから中島さんの仕事をやるのと、その以前とはやっぱり音の作り方を考えましたね。

田家:中島みゆきさんも瀬尾さんのそれまでのこと全部ご覧なってて、瀬尾さんだったらこれができるだろうということでお願いして今に至ってるわけですもんね。

瀬尾:全部お聞きになったかどうか知りませんけど、どっかが使えるなと思ったんじゃないんですか(笑)。アルバムのほうに戻りますけど4枚目でしょ。初めは1しか出ないと思ってたから年代順にしたんですよ、曲の並びを。そしたら毎回年代順なんですよ。毎回聞くたびに過去に戻されては恥ずかしいところから段々現代に来るというのを繰り返してるんで、初めから70年くくりとか80年くくりとか90年代くくりで作ればよかったなという後悔はあります。

田家:これから一つのテーマを見つけて違うコンピレーションができそうですね。

瀬尾:もういいですコンピレーションは(笑)。もう後の祭りですけどね。20年代以降は全部中島さんですよ。中島さんのアルバムと何も変わらなくなる(笑)。

田家:みゆきさんのアルバムのそういうテーマ別の何かってのはできないんですか?

瀬尾:それは中島さんがやればいいことで僕がやることではない(笑)。

田家:実はこの番組は「J-POP LEGEND FORUM」としては今月で終わるんですね。来週から形が変わるんです。その最後を瀬尾さんにおいでいただいて、最後「麦の唄」で締められてよかったなと思って。

瀬尾:そんなこと今突然言われても、私はなんて言っていいのか。でもご苦労様でした。次はまた何かの形で?

田家:タイトルが変わるだけです。

瀬尾:なんだ(笑)。じゃあ次のタイトルのときには、また生存確認で。

田家:「SUPER digest 5」が出たとき。

瀬尾:あははは。そのために作る。

田家:その節はまたよろしくお願いします。ありがとうございました。

瀬尾:どうも長々とお邪魔しました。

Rolling Stone Japan 編集部

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