Galileo Galileiが語るメンバー4人の繋がり、手にしたかった「真っ当な人生」

―当然今回のアルバムを待ち望んでいたリスナーやミュージシャンのファンも多かったでしょうね。

尾崎:ただこのアルバム自体は外側のことはなにも考えないで作ったアルバムなんです。

岩井:インターネットの接続を切って、オフライン状態みたいな感じ。

尾崎:メンバー内では映画とか漫画とかアニメとか本とかをすごく共有してて、例えば、一時期僕が戦争映画にめっちゃはまった時期があって、それを知ったベースの岡崎くんが移動の飛行機で戦争映画を見てくれたり、誰かが「いいよ」って紹介したやつをお互いに見たりするんですよ。そういうイメージの蓄積がそれぞれあって、それで音楽も作れちゃうから、スマホもYouTubeもいらないんですよね。ミックスの段階では、単純にサウンドリファレンスとして、いろんなアーティストの音源を聴いたりして、「The 1975のドラムの音はなんでこんなにラウドなんだろう?」と思って、僕ら一回マイク・クロッシーとやってるから、当時の僕らのパラデータを開いて、聴き比べてみたり、そういう技術的な部分はネットの力を借りましたけど、それ以外はひたすら4人だけで粛々と制作をしてました。

岩井:ディレクターもプロデューサーもいないし、ミックスでクリストファー・チューには協力してもらったけど、制作の段階では4人以外いなくて、他の人からは誰も何も言われてないっていう。

―「アルバムの青写真」みたいなものはどの程度ありましたか?

尾崎:あまりなかったんですけど、『Bee and The Whales』っていうタイトルだけはありました。昔のガリレオと今のガリレオの違いを考えたときに、当時は自分のこと以外考える必要はなくて、自分と自分がやってる音楽やバンドを守ることだけ考えてれば生きていけたんですけど、今の僕らには家族ができて、守るべきものが音楽とは別にもうひとつあるんですよね。でも僕はそれが今のガリレオのメンバー同士が繋がれる強みだと思っていて、実際音楽にもそれが出てることもあって。なので、それを表現できないかなと思ったときに、僕ミツバチが好きなんですけど、プーンってハチさんが飛んでるのを、4匹のクジラが口を開けて見てるみたいなイメージが湧いて、まずツアータイトルに決めちゃって、「アルバム名もこれでしょ」って。

―一枚絵のイメージがパンッと湧いたと。

尾崎:そうですね。あとは業界とかシーンっていう感じでもなく、音楽っていう大きな海があって、くじらもめちゃめちゃ巨大だけど、でも海の中だとすごいちっぽけで。いろんな音楽に対して喜びもあるけど、畏怖というか、ちょっと怖くなるときもあるんですよね。「なんてでけえんだ」みたいな、それとずっと対峙してきてる気がするので、そういうイメージもあったりします。

岩井:タイトルが決まったことによって、何か共通の、目には見えないけど、概念みたいなものが4人の上にずっとあって、それにある種動かされてるじゃないけど、雄貴がそれを名付けたことにより、それが旗となって、そこに向かって無意識的に動いてたっていうのがもしかしたらある感じはします。

尾崎:今回のアートワークは「油絵やってみようぜ」ってなって、『Bee and The Whales』っていうタイトルについていちいち説明せずに、それぞれのイメージで1枚ずつ描いたものなんです。今回の制作は音楽作り以外の部分でもいろんなことがあって、みんなで絵具やでっかいキャンバスを買いに行ったのもそうだし、今まではアルバム制作に入ったら間に別のイベントを入れることはあんまりなかったけど、今回は「THE FIRST TAKE」に出たのも結構刺激になったんですよ。



Rolling Stone Japan 編集部

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