Galileo Galileiが語るメンバー4人の繋がり、手にしたかった「真っ当な人生」

―具体的な曲についても聞かせてもらうと、まずはアルバムの始まりを告げる一曲目の「ヘイヘイ」が非常に印象的でした。

尾崎:「ヘイヘイ」はクモの糸の中でワーッてもがいてるような、二日酔いの状態でワーッてやってる中で、パッとそこから抜けたみたいな、そういう瞬間を作りたいなと思って、結果的にそこがすごく好きな箇所になったので、ライブでやるときもきっと楽しいだろうなって。たくさんギターを重ねて作ったので、その行為はただただ楽しかったです。ビットクラッシャーっていう、8bitっぽくするやつをめちゃくちゃかけて、それが後ろでずっと鳴ってたり、結構いろんなことをやってます。

―ジャンルで語るのは違うかなと思いつつ、今の8bitサウンドの話とか、ハイパーポップがサウンドを作るにあたってのリファレンスになったりとか、そういう部分も今回あったりしますか?

尾崎:「ハイパーポップ」っていう言葉を初めて聞いたぐらいの感じなんで……なんだろうな、ある段階から音楽の研究の仕方が変わった気がしてて。

岩井:「音楽を音楽に変換する」みたいなことがものすごく少なくなりました。

尾崎:そうだね。そのまんまっていうのがなくなったかも。

岩井:さっき雄貴が言ったように、別のイメージを音楽に変換するときの手段として、「これはビットクラッシャーだね」とか「これはフランジャーだね」とか「これは90年代っぽいビートだね」とか、そういうことが行われ続けた結果、いろんなものが混ざりやすかったというか。音楽を参照点にしてそれを音楽に変換してもそれでしかないから、混ざり合いづらいんだけど、別のものを転換することによって、「水と油的なものが混ざり合う」みたいなことが不思議と起きた気がします。

尾崎:「ヘイヘイ」のストリングスもディズニーランドとかにいる錆び付いたロボットがストリングスを弾いてるイメージで、だからピッチを若干落としたりして、それが結果的に「これめっちゃビートルズっぽいじゃん」とかってなることはもちろんあるんですけど、それはそれで単純に嬉しいというか。あと僕らよくやるのが、好きな映画の予告編とか、なにか映像を見ながら曲をアレンジするっていうことはよくやります。うちにプロジェクターがあって、海の映像とかを投影した中で音楽を作ったときと、普通にいつもの部屋で作るときとは全然雰囲気が違って、そういう面白さも今回の制作ではありました。

―「愛なき世界」はタイトルや歌詞も含めてくるりトリビュートみたいな側面があるけど、フィールドレコーディング的なものも含めて旅の風景を想像させる曲になっていて、これもやはりそういうイメージを曲にしたのでしょうか?

尾崎:そうですね。僕アイデアが全く湧かないときによくやるのが、船がずっと海を進んでる定点の映像とか、電車の車窓から見える風景をずっと撮ってる映像とかを流すんです。そうすると、移動してるときに音楽を聴くのと、止まってるときに音楽を聴くのは全然違うように、何か推進力が生まれるときがあって。「愛なき世界」は電車の映像を使って書いてたら、謎にくるりっぽくなってきたので、「これはくるりに敬意を示そう」となって、こういう曲になりました。

―岸田さんと言えばやっぱり電車ですもんね。くるりというバンドも時期ごとに編成を変えながら活動を続けていて、どこか常に抗っている部分があるというか、そういうところはガリレオであり、尾崎くんのこれまでの活動ともシンクロする部分があるように思います。

尾崎:僕はこれまでそういう姿を見て、そこに勇気をもらってきてるから、自分もそういう風に振舞ったりできるのかなと思っていて。くるりだったり、the pillows、スーパーカー、バンプもそうですけど、彼らのもがいてたりする姿が僕には一番かっこよく見えて、僕もそうありたいと思わせてもらえたので、どのバンドも心から尊敬してます。

Rolling Stone Japan 編集部

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