SKY-HIとØZIが語る共演の舞台裏、アジアの音楽シーンの未来

「Everything’s Gonna Be Alright」を言ってくれる曲

―今回の楽曲でのコラボレーションはどのような経緯で実現したのでしょうか?

ØZI:今回は日本で流れる「C COFFEE」のコマーシャルのための楽曲ということで、そういう曲に呼んでもらえたのはエキサイティングだし、すごく光栄です。自分に来たコマーシャルの話に他の人を巻き込むっていうのは珍しいと思うから、そういう意味でも嬉しかったです。

SKY-HI:逆に言うと、コマーシャルの曲になり過ぎないようにしたかったというか、それこそビジネスにし過ぎたくなかったっていうのがあって。「C COFFEE」のCM曲を作るのは今回で4作目なんだけど、もちろん作るからにはリリースする意義のあるものにしたくて、どうしようかいろいろ考えたときに、まずKMくんとやることを決めて。で、このテンションのビートでやろうって決めたときに、ここにØZIがいたらどうだろうっていうアイデアが浮かんで、そのとき自分の中のワクワク感が一気に増したんです。



―「一緒にハングアウトした」っていう話もありましたけど、お二人はいつからのお知り合いなんですか?

SKY-HI:ラジオで話したのが最初かな。それが去年の4月くらい。

ØZI:実際に初めてお会いしたのが去年の「サマーソニック」ですね。

SKY-HI:で、10月に一緒にパーティをして、今年の2月に台湾に行って。それで今回のコラボが実現したので、すごくきれいな流れですよね。

―ØZIさんはこれまでもさなり、eill、倖田來未、¥ellow Bucksといった日本のアーティストとコラボレーションをしていますよね。

ØZI:いろいろやらせてはもらったんですけど、これまでのコラボレーションはパンデミックの最中だったりしたから、実際にお会いできたケースは少なくて。なので、まず実際にお会いして、関係性を構築したうえでコラボレーションに至ったのはSKY-HIが初めてで、さっきも話していたように、すごくオーガニックな流れだったなと思います。もちろん、これまで積み重ねてきたコラボレーションはすべて自分にとって意味があって、僕はもともと小さいころから母親と一緒に頻繁に日本に来てて、音楽だけじゃなくて、例えば、VERBALのファッションだったりも、自分にとって大きなものだったんです。なので、今こうして日本のアーティストとコラボレーションをやらせてもらえてるのは、なにかに導かれてるような感覚があったりもします。

SKY-HI:さなりのデビューシングルは俺がプロデュースしてるからね。eillとも一緒にやってるし。

ØZI:そうなの? 世間は狭いね(笑)。5年前には台湾でiriさんと共演したこともあったり、他の国のアーティストとはそんなにたくさんコラボレーションしてるわけじゃないんだけど、日本のアーティストとは何かをする機会が多くて……そろそろこっちに家を買って引っ越さないとかもしれない(笑)。

―実際の楽曲制作はどのように進められたのでしょうか?

SKY-HI:何回かミーティングをして、DMでやり取りをして、デモを送ってもらって。フックに関しては、ØZIが入れてくれたラインがめちゃくちゃよかったから、あんまりやらないことだけど、フィーチャリングアーティストとずっと2声で歌ってるっていう。

ØZI:たしかに、僕もあんまりやらない。日本語の発音をすごく練習したんだけど、どうだった?

SKY-HI:ファンタスティック!だから、ミックスのときもØZIの声をどんどん大きくして(笑)。

―じゃあ、レコーディング自体は一緒にやったわけではなくて、データでのやり取りだったわけですね。

SKY-HI:そうです。でもプリプロからØZIが自分の家ですごく丁寧にやってくれて、それをKMくんと一緒に聴いて、そこからビートを作り直したりもして。

―ØZIさんは曲に対してどんな印象を受けましたか?

ØZI:聴いてすごく自然に自分の中に入ってきたんですけど、ただ自分の中にはない部分もすごく感じて。普段の自分はもっとロック寄りというか、アグレッシブで、ダークな曲を作ることが多くて、自分でもアッパーなアガる曲を作ってみようと思うこともあるんですけど、作ってるうちにやっぱり自分は違うのかなって思うことが多くて。でも今回はコラボレーションだからこそ、普段とは違う自分を引き出せてもらえた感じがします。

SKY-HI:俺もこんなに明るい曲を作るのはひさしぶりで。KMくんと話したのが、今の日本のヒット曲って、SEKAI NO OWARIの「Habit」とか、Adoの「うっせぇわ」とか、ちょっとペシミスティックだったり、自虐的だったりするのが多いじゃないですか? でも今の日本の状況を考えると、アンセムというか、「Everything’s Gonna Be Alright」を言ってくれる曲もないとやばいんじゃないかと思ったんですよね。今の日本はどんどん治安が悪くなってるし、若い子がどんどん夢を見れなくなってるのがやばいと思ったから、10年前の自分だったら絶対作ってないような「応援歌」みたいなものを作りたいなって。なので、まずは自分のヴァースを先に書いちゃって、それをØZIに渡しました。

ØZI:ポジティブなメッセージやエネルギーはすごく伝わってきました。ただ自分は場所でも人でも何でもいいんですけど、具体的な絵を思い浮かべないとリリックが書けないタイプなんですよね。で、今回に関しては必然的にコーヒーの絵が浮かんで、歌い出しからして直接「コーヒー」とは言ってないけど、コーヒーのことを言ってるってわかるような感じにして。<Feel the rush through my veins>とか<Taking the pressure Taking the pain>とかって、アルコールだったり、もっとダークなことを言ってるようにも聴こえるかもしれないけど、ここで言ってるのはカフェインのことで。いろんな言葉を使いながらも、表現としてはすごく前向きなことを伝えようと思いました。

SKY-HI:俺よりも全然タイアップのことを考えてくれてます(笑)。


SKY-HI(Photo by Mitsuru Nishimura)

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