SKY-HIとØZIが語る共演の舞台裏、アジアの音楽シーンの未来

台湾の音楽シーンの広がり

―さっきのSKY-HIさんの日本の状況とヒット曲のリリックの関連の話は面白いなと思ったんですけど、ØZIさんから見て最近の台湾のヒット曲には何か傾向がありますか?

ØZI:そうですね……何が一般的かっていうのは難しいですけど、みんなどこかアイデンティティクライシスを感じてる気はします。やっぱりパンデミックがあって、どこか行き場を失ってしまったような感覚がある。それがどこまでリリックに反映されてるかというとわからない部分もあるけど、少なくともみんな同じようなことを感じてるんじゃないかと思います。でもまあ、きっと世界中がそうなんでしょうね。アーティストで言えば、今は世界中の誰もがTikTokやソーシャルメディアの影響を受けていて、それはポジティブともネガティブとも言えるけど……とりあえず僕はレイジ―だから、ソーシャルメディアにポストするのはあんまり得意じゃない(笑)。どのアルゴリズムに入ればトレンドに上がるのかとか、ホントはそういうことも分析しなきゃいけないのかなと思う反面、そういうこととは関係ない自分でいたいとも思ったり、いい悪いではなく、そういう流れには逆らえないなって。

―今回のコラボレーションはそういったトレンドがどうこうとは関係のないところから派生したオーガニックなものだからこそ、すごく貴重ですよね。

SKY-HI:でも問題があって、こういう風に作っちゃうと……また早く次が作りたくなっちゃうんですよ(笑)。

ØZI:わかる(笑)。最近の流れに対しては否定的な部分もあるにはあるけど、でも何でも流れがすごく速いからこそ、直感で動けるようになったっていう部分もあって。パンデミックの最中は考えすぎちゃって、完璧主義みたいになってた時期もあったんですけど、今はいいトラックができたらどんどん出していこうっていうマインドに切り替わってるので、僕もまたすぐに次が作りたいです。

―アジア各国との連帯をさらに強めたい気持ちもありますか?

SKY-HI:いや、2018年くらいからそういう気持ちでやってきて、今はその甲斐あってというか、ここ最近は自然とそうなっていて。日本人でもまだ一緒にやりたい人がたくさんいるし、アジアのアーティストとも一緒にやりたいし、そこはすごくフラットなんですよね。

―ØZIさんは台湾の音楽シーンの広がりをどのように感じていますか?

ØZI:僕が2018年くらいに本格的に活動を開始したころに、ちょうどヒップホップとかR&Bのアーティストが一気に増えて、誰しもがラッパーになりたがるみたいな、トレンドみたいな状態になって、僕らの世代に関してはそこで大きな変化があったと思います。でもここから大事なのは、台湾ならではのユニークさを見つけていくことだと思っていて。日本の音楽はすごくユニークだと思うんです。ヒップホップもロックもアニメロックもそう。BABYMETALがいたりとか、どのジャンルもすごくユニークなサウンドを持ってるなって。

SKY-HI:ユニークだし、ストレンジでもあるよね。

ØZI:グローバルで勝負するにはそのストレンジな部分、ウィアードな部分が大事だと思うので、台湾のアーティストもこれからの世代が台湾らしいウィアードネスを見つけて、世界に発信していけたらいいなと思います。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE