LiSAが語る、世代を超越したパンクロックの力、「次の10年」を見据えて

LiSA

LiSAが2023年第一弾となる新曲「REALiZE」を配信リリースした。この曲は本日公開された映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』日本語吹替版の主題歌として制作されたもので、作詞をLiSA、作曲・編曲を堀江晶太(PENGUIN RESEARCH)が担当。さらに、ミックスエンジニアにblink-182やブリング・ミー・ザ・ホライズンなどを手がけるザック・セルヴィーニが参加しており、重厚感を備えながらも疾走感の強い、モダンなロックチューンに仕上がっている。

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昨年11月発売のアルバム『LANDER』を経て、新章に突入したLiSA。映画『スパイダーマン』シリーズのファンでもある彼女が、この曲を通じて描きたかったものとは。その制作過程を含め、現在のモードをじっくり語ってくれた。

ー『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』日本語吹替版の主題歌をオファーされたとき、率直にどう受け止めましたか?

LiSA:私、前作の『スパイダーマン:スパイダーバース』をいちファンとして映画館に観に行っていましたし、めちゃくちゃ面白かった作品の続編に対してもすごくワクワクしていたところに、私が日本語吹替版主題歌で関わらせてもらえるっていうのはすごく幸せだなと思いました。そこから「どんな楽曲ができるだろう」って、自分自身のやれることに対してもすごくワクワクしました。

ー楽曲については、細かなオーダーはあったんでしょうか?

LiSA:「ロックで疾走感のある楽曲」……スパイダーマンたちがたくさん飛び交う映像に似合う楽曲、というオーダーはいただいていました。

ースピード感や絵力の強い作品ですから、そこに負けないだけのパワーも求められますよね。

LiSA:そうですね。実はパワーとスピード感って、意外とマッチさせるのが難しくて。今回は晶太くんと、「スピード感とはなんぞや?」みたいな要素から一緒に作っていきました。

ーリズムの重さを強調するとなると、BPMも落とさざるを得ないですし。

LiSA:なので、疾走感とバトルの重たさみたいなものが共存できるテンポ感やサウンド感をすごく意識しています。

ー実際に完成した新曲「REALiZE」を聴いてみると、王道のLiSA節を感じさせつつも新たな要素も散りばめられており、10周年を経て次へ進む上での重要な曲になりそうな印象を受けました。

LiSA:まさにそのとおりで、次の10年はどんな音楽をやっていくかっていうことを、それこそ晶太くんとたくさんお話させていただく機会があって。それこそ昨年リリースしたアルバム『LANDER』の中に入っている、晶太くんと作っている楽曲とかで一緒に試行錯誤を繰り返していたんですが、今回『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』という大きなきっかけをいただけたことで、これまで私が聴いてきた洋楽のパンクロックやヘヴィなサウンドの音楽をちょっとだけ意識して、新しい自分になっていくような感覚で制作を進めていきました。



ーJ-POPはメロディをまず重視すると思うんですけど、一方で洋楽ロックはリズムで聴き手を巻き込んでいくような感覚が強い。「REALiZE」の場合、その両方の要素を兼ね備えつつもリズムがより強化されている印象を受けました。

LiSA:ありがとうございます。まさに今回は、リズムトラックから作っていきました。

ーなるほど。そのリズムに合わせて鳴り響くギターリフも、今までとは少々違ったテイストが感じられます。

LiSA:特に私が好きだった洋楽テイスト、J-POPほどコードが複雑に動かない音楽と、晶太くんがもともと持っているハードコアな側面やテクニカルな側面を混ぜ込んだ、それぞれの要素がとても活きる楽曲になったなと思います。

ーで、先にも触れたように、この曲はメロディもしっかりキャッチーさが備わっていて、J-POPとしてもしっかり機能しています。

LiSA:サウンドやアレンジ同様、そこもすごく意識して制作しました。日本語吹替版の主題歌ということもあって、J-POPのフィールドで活動している私だからこその、日本の人たちに愛してもらえるメロディを通して、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』を楽しんでもらいたかった。だから、特にサビは歌詞も含めてわかりやすさを重視しました。

ーサビはもちろんですが、今回の歌詞って英詞のフレーズや英単語が極端に少ないですよね。そこも意識的だったんですか?

LiSA:書いていく中で、できるだけ日本語を使っていこうと思ったんです。でも、「スパイラル」とか「dead」とか言葉として使いたくなってしまうときは、響きなど必要な要素として使う程度にとどめました。

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