LiSAが語る、世代を超越したパンクロックの力、「次の10年」を見据えて

歌とトラックのバランス

ー最近の作品を聴いていると、確かにそういう変化もいろんなところから感じられます。また、ボーカルに関しても年齢や経験を重ねたことでの変化も勿論あると思うんですが、今回の曲みたいに疾走感とヘヴィさを兼ね備えた楽曲を表現する際に、安定感と攻めの姿勢がいい具合にミックスされた歌い方というのも新鮮だなと思ったんですよ。

LiSA:ありがとうございます。晶太くんとサウンド作りから一緒にやらせてもらっているってこともあって、音楽の中で意思疎通ができていたので、自分の中でも歌の道筋が立てやすかったです。それは言葉を乗せるときもそうなんですけど、晶太くんと最初から一緒に作っていったからこそどこで何をするべきかを、ちゃんと理解できていたんだと思います。

ーあと、以前と違って力でねじ伏せるだけじゃなくて、緩急に富んだ流れの中で説得力のある歌を届けるような気持ちよさも、この曲にはあるのかなと。

LiSA:それはやっぱり、梶浦(由記)さんとの出会いがとても大きかったように感じます。それまでは私のゴリ押しの攻めのスタイルを活かしてくれる楽曲に、自分自身が頼っていたところがあったんですけど、梶浦さんの楽曲には力でねじ伏せるみたいなやり方が通用しなかった。曲の中ですべての辻褄を合わせるための歌が必要だったんです。梶浦さんの書く曲にはそういう説得力のある表現がすごく必要なので、その現実と向き合わざるを得なかったというか。その経験が今になってすごく活かせているような気がします。

ーそういうお話を聞くと、今回の「REALiZE」はこれまで経験してきたことを総動員することで、ここまでのバランスを保てているのかなと思いました。そしてその楽曲のミックスをblink-182やブリング・ミー・ザ・ホライズンなどを手がけてきたエンジニア、ザック・セルヴィーニが担当。彼にお願いしたのは、どういう理由からですか?

LiSA:自分の趣味で聴いている音楽に、ザックさんが携わっていることが多くて。特に今回は『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』という大きな理由をもらえたので、このタイミングに自分が好きなことを混ぜてみようじゃないですけど、「この人にお願いしたら自分の声はどうなるんだろう?」とワクワクしたかったんです。実際、できあがったものを聴いて、カッコよすぎて笑っちゃいましたね(笑)。

ーその笑っちゃう感じ、わかります。彼が手がけてきた作品の多くは、ドラムのミキシングが特徴的だという印象があるんですが、そういう点でも相性抜群でしたものね。

LiSA:私も最初にドラムがバーンって鳴った瞬間に爆笑しちゃいました。ザックさんと特に言葉を交わしたわけではないんですけど、私の声に関してもこのバンドサウンドにマッチしたミックスを施してくれて。私は自分の声が特徴的だからこそ、コンプレックスを感じることもあったんですけど、このミックスを聴いたら「このままでいいんだ!」と自信につながりました。

ー確かに、歌とトラックのバランスが絶妙ですよね。

LiSA:はい。私の声が出過ぎるからバンドの音を上げればいい、みたいな話じゃないなかったんだなと。こんなにカッコいいサウンドの中に、ちゃんとボーカルとして存在させてもらえるという、その立ち位置も含めてすごく感動しました。

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