THE BEAT GARDENが語る第2章、ボーカル3人編成だからこそできること

THE BEAT GARDEN:左からMASATO、REI、U(Photo by Kentaro Kambe)

THE BEAT GARDENについて語るとき、『六本木クラス』の主題歌「Start Over」を歌っていた人たちといったほうが、多くの人にはしっくりくるかもしれない。とはいえ彼らは、結成11年目に突入した中堅グループ。自分たちで曲を作り路上ライブで経験を積み、少しずつ歩みを進めたなかで巡り合ったのが先の「Start Over」であり、『FNS歌謡祭』や『ミュージックステーション』の出演だったのである。

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そして6月14日、THE BEAT GARDENは4thフルアルバム『Bell』をリリースした。新体制として初となるアルバム作品は、余分な装飾がそぎ落とされ洗練された1枚に仕上がった。

本稿ではネクストフェーズに突入したTHE BEAT GARDENの今に迫ると共に、『Bell』について掘り下げてもらった。

―『Bell』は“ネクストフェーズに突入した彼らの決意表明となるアルバム”とのことですが、現在のTHE BEAT GARDEN は第何章ですか。

U:音楽性でいうなら、第2章。エレクトロダンスロックを中心に作っていたインディーズ時代が第1章で、J-POPに向かって歩みだしたメジャーデビュー以降が第2章として今にも続いています。歌声でいえば、第3章ですね。インディーズ時代、メジャーデビュー後、そして発声を揃えたコロナ以降。「それなのにねぇなんで?」のタイミングで発声を揃えてからは、意識せずともユニゾンが重なっていると感じるようになりました。だからといって、歌い方を意図的に作りこんでいるわけではなく、自分が歌いたいように自然な状態で歌えています。



MASATO:Uさんが喉を壊したのをきっかけに、Uさんが習っていたボイストレーニングの先生の元で、3人とも発声を見直すことにしたんです。それぞれの口や鼻の響きの位置を整えたところ、ユニゾンがキレイに揃うようになりました。

―デビュー当時のTHE BEAT GARDENは、それぞれの歌い方に個性があることを強みとしていた時期もあったかと思いますが、現在は「ユニゾンを揃えよう」という意識になったということですか。

U:インディーズ時代の僕らが目指していた音楽って“自由に”だったんですよ。僕らは楽器を持たずダンスも踊らず自由にパフォーマンスするし、お客さんにも自由に楽しんでもらう。たまたま歌声が揃えばそれはそれでOKだし、バラバラだとしても問題なし。好きな音楽がバラバラの3人が、各々のルーツを昇華してTHE BEAT GARDENに落としこめていれば、どんな声や歌い方でもよかったんです。

でも、『メッセージ』をリリースした2019年頃から、少しずつファンの方からもらう感想が変わり始めたんですよね。バンドサウンドを好きな人が「バラードもすごくいい」って言ってくれたり、ライブでも「感動した」って伝えてくれたり。楽曲がよりJ-POPに寄っていくなかで、それぞれが「このままでいいのかな」という想いを抱えるようになりました。

決定的だったのは、『Afterglow tour 2021』ですね。「遠距離恋愛」を歌っているときに周波数が揃うような感覚があり、ひとつの声に聴こえる歌は心に届きやすいのかもしれないと3人とも体感できた日があって。それ以来、J-POPというメインストリームを歩いていきたいなら、声が揃う感覚も大切にしていったほうがいいんじゃないかと考えるようになったんです。



―となると、音楽と向き合うマインドも作品を重ねるごとに変化していきましたか。

U:そうですね。常にそのときやりたいことに全力を注いではきているんですが、「Start Over」以降は、僕らが思っているTHE BEAT GARDENと世間のイメージが、一致する瞬間が増えてきているように感じます。J-POPの道を歩みだして、「Start Over」というポップソングに出会って、人目に触れたことで「この道でいいんだ」と思えている。かつては、踊れることを最優先にして曲やメロディが望んでいない音数をトラックに詰めこんでいた時期もあったんですけど、今では僕らもチームもメロディと歌詞を最優先にするという共通認識に至りました。

REI:今思えば、インディーズ時代に見つけたエレクトロダンスロックという自分たちのテーマに縛られ、可能性を狭めていた側面もあるのかなって。等身大の自分たちでいられれば、これからさらに表現の幅が広がるような気がしています。

U:「もっとエレクトロダンスロックの要素がないと普通のJ-POPになってしまう」と思っていた時期もあったもんね。差別化できない怖さを感じていたというか。みなさんに最近のトラックを「肌馴染みがいい」と感じてもらえているのは、当時の僕らがこだわっていたそういう部分がいい意味で取り除けて、自分たちの作るメロディと歌詞を信じられているからだと思います。

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