THE BEAT GARDENが語る第2章、ボーカル3人編成だからこそできること

初心にかえれる楽曲「Start Over」

―アルバムの1曲目である「Start Over」は、リリースから時間が経った今でも、たくさんの人に聴かれていますよね。

U:この前、YouTubeに公開しているMVの再生回数が1000万回を越えたんです。チームでは「500万回いったらすごいね」と話していたので、本当に驚きました。とはいえ、数字に固執しているわけではなく、ドラマが終わった後も聴き続けてくださる方やショッピングモールで僕らの歌を聴いてYouTubeを再生してくださる方などとの出会いを噛みしめている感じです。



REI:個人的には「Start Over」を経て、目の前のことをより大事に歩んでいきたいという想いが強くなりました。モノづくりもそうですし、ライブも。何か発信するにしても、より丁寧に大切にしていきたいという意識が芽生えたかもしれないです。今の自分ができるのは、目の前のことをしっかりやって、一歩一歩着実に進んでいくこと。それが、結果として何かに繋がっていくと思うので。

U:自分たちで曲を作り続けて、目の前の人に一生懸命歌い続けて、出会えたのが『六本木クラス』であり「Start Over」だから尚更ね。「歌っているの、あの人たちなんだ!」となる曲をプレゼントしてもらえたことは嬉しいですが、「曲が知られてるだけだよ~。3人は知られてねえから」という想いもめちゃめちゃあります。「THE BEAT GARDENが「Start Over」を歌っているんだよね」となるパターンは、たぶん曲を聴いてくれている人の1割以下なので。どこかで「THE BEAT GARDENが歌っているから聴こう」に逆転させないと、「Start Over」も歌い続けていけなくなっちゃいますから。デビュー時よりも、もっともっと初心でやらせてもらっています。現実がめちゃくちゃ“Start Over”してますね(笑)。

―初心にかえれる楽曲が、アルバムの1曲目というのもエモいですよね。

U:エモいです。上京して、六本木のライブハウスで歌い始めて、六本木近くの事務所に入って、『六本木クラス』の主題歌を歌って、『ミュージックステーション』に出て。そうやって進んできていても、まだまだ夢が叶ったとは思わず、「ここが新しいスタートだ」って思えているのは、本当にドラマみたいだと感じています。

―『ミュージックステーション』に出演してもなお、新しいスタートという気持ちなんですね。

MASATO:出演する前は、もっとステータスに感じるかもしれないと思っていたんですけど、実際はひとつの成功体験を得たという感覚に近くて。

U:自分たちが何かを成し遂げた気持ちは、本当にひとつもないんです。すごくありがたい経験ですし、また帰りたいステージであることには間違いないんですけどね。披露したのが「Start Over」でなく、オリジナル曲だったとしても大満足はしていなかったと思います。

MASATO:僕たちが目指すべき場所や、ずっと言っていた夢というのは『ミュージックステーション』のさらに先だと思うんですよ。

U:もっと届けたい人がいて、もっと出したい言葉があって、もっとすごい曲を作りたい。ステージの大きさで解決される何かではないかなって。『ミュージックステーション』のステージに立ったことで、「ここがゴールじゃない」って身をもってわかれたし、だからこそ曲作りも作詞もライブも本気でやりたいって心の底から思いました。

―3曲目に収録されている「あかり」は、橋口洋平さん(wacci)からの提供楽曲ですが、どういった経緯でご一緒することになったんですか。

U:こういう面構えの3人が失恋の曲を歌うことに、ずっとモヤッとしていたんです。自分の書く歌詞が正解なのか全然わからなくて、誰かにラブソングの歌詞を綴ってもらったら、違うTHE BEAT GARDENが見えるかもしれないと思っていたんです。新しいアルバムの構成を考えるなかで、橋口さんだったらお願いしたいと思ったんです。wacciはもともと聴いていましたし、何よりも橋口さんの書く歌詞が好きなので。



MASATO:橋口さんにお願いしてよかったと思うのは、歌っているときにみんなで同じストーリーを想像できるところ。同じ色味や温度、季節を思い浮かべながら、曲を届けているような感じがします。

―楽曲と向き合う感覚は、Uさんが書いた歌詞を歌うときと違いますか。

U:違いますね。基本的に僕は歌詞に出てくる“僕”になって歌っているんですが、僕じゃない人が書いた“僕”は違う“僕”なのかもしれません。自分で書いた歌詞だと、Aメロの時点でサビを歌っているときの気持ちが香ってくるんですけど、橋口さんの書いた歌詞を歌うときは、順を追ってドラマを見ているような気持ちになるんですよ。行く末がわからない状態で歌うのは、すごく楽しいし心地いい。感覚的には「遠距離恋愛」とか「それなのにねぇなんで?」とか、主語が“私”の曲を歌っているときに近いかな。

MASATO:個人的には「あかり」の方が、「Start Over」よりもカバー感が強いですね。「Start Over」はカバーといえど日本詞を書いているのはUさんなので、自分の言葉として歌えている。一方で提供された楽曲は、ひとつのストーリーにみんなで同じイメージを持ちながら、世界観を届けているような感覚があります。

U:たしかに。「あかり」をライブで披露したときも、主人公の“僕”が3人とも同じ“僕”になっていたというか。僕の書く歌詞だと、それぞれの実体験に沿わせて歌うから答えが3つ4つになるけど、橋口さんの書く歌詞にいる“僕”はハッキリしているし、見える景色が一緒になるんだろうね。

―『Bell』収録曲の歌詞について一点気になったんですが、Uさんは“横顔”が好きなんですか。

U:好きです! 大切な人の嬉しそうな姿や優しい表情などが思い出されるときって、正面よりも横顔の方が多いと思っていて。横に座っていたほうが距離は近いし、一緒におうちにいても正面から顔を見ることって少ないじゃないですか。大切な人ほど、たくさん横顔を見ていると思うんですよね。だから、歌詞にも横顔がよく出てくるんです。


THE BEAT GARDEN:左からMASATO、REI、U(Photo by Kentaro Kambe)

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