THE BEAT GARDENが語る第2章、ボーカル3人編成だからこそできること

メロディと歌詞を信じられるようになった理由

―何かメロディや歌詞を信じられるようになったタイミングがあったんですか。

U:歌詞に関しては、2018年にリリースした「僕がいる未来」がきっかけですね。

REI:リリースイベントでもらう感想の内容が、ガラッと変わった感覚があったんですよ。

U:それまでの僕は、メロディありきで「メロディに合う鳴りのいい歌詞を書こう」と意識しているところがありました。でも、「僕がいる未来」は自分をちゃんとさらけ出して歌詞を書いたんです。そしたら、曲を聴いた人は僕と全く違う毎日を生きているはずなのに、自分の人生と照らし合わせて受け止めてくれた。いろんな人から違った感想をもらえたのが、本当に嬉しくて。それ以来、自分の言葉を信じて書けば、誰かにとっては励みや優しさになるかもしれないと思えるようになったんですよね。届く人には届くんだなって。



MASATO:メロディに関しては、特に何かがあったというよりはマインドの変化が大きくて。以前は自分にできるかできないかを基準にして、「こいつに勝った」とか「あいつに負けた」とか判断していた時期があったんですけど、今では自分の悔しさも大事にしながら、評価してくれる人たちの言葉を大事にできるようになりました。僕にとって、1番褒められて嬉しい相手は、やっぱりメンバーなんですよね(笑)。ふたりが「MASATOの作るメロディのここがいい」って言ってくれたり、友達のアーティストが「こういう展開のメロディにするんや!」って驚いてくれたりしたのが、僕の自信になっていったんです。

誰かに似ている曲を作っても、結局は二番煎じにしかなれないし。自分から生まれたメロディや、悔しさから勉強して身に着けた創作力でできた曲が、結果的にいい作品になっていたら嬉しいです。もし、そうならなかったとしても「仕方ないな」と腹をくくれるくらいの潔さを持てるようになりました。

―おふたりは、メロディに関してはいかがですか。

U:信じられるようになったタイミングかはわからないですけど、「メロディ作るのって楽しいな」と思うようになったのは、「Snow White Girl」のときでしたね。それまでは、コードを打ってピアノやギターの音を重ねて鳴らしたり、ループ音をひたすら流したりしながらメロディを考えていたんです。でも、そうすると好きなトラックやコード進行に寄りがちになってしまって。思い切って、BPMだけ決めてクリック音を聴きながら鼻歌でメロディを作ってみたら、すごく楽しかったんですよ。そうして生まれたのが、2019年にリリースした「Snow White Girl」。あれ以来、変なことを意識せずにひたすらクリックを聴いて曲を作るというのをずっと続けています。ビートと鼻歌だけが入ったトラックを渡され、僕に「その音じゃない」と言われながらアレンジを考えてくれているREIにとっては、めんどくさいかもしれないですけどね(笑)。



―歌詞とメロディを信じられている、今のみなさんから生まれた『Bell』についてもお伺いしていきたいと思います。そもそも『Bell』というタイトルになったのは、なぜですか。

U:THE BEAT GARDENは、路上ライブに立ち止まってくれた人と目を合わせて歌った10分間やひとりの人に歌が届いた感覚を積み重ね、一人一人とゆっくり出会いながらここまでやってきました。僕らの曲も自発的に走っていったのではなく、誰かが「もっとTHE BEAT GARDENを知りたい」と一歩を踏み出してくれたことで、少しずつ聴いてくれる人が増えていったんです。そんなことを思い浮かべ、タイトルを探していたときに「いいな」と思ったのが『Bell』でした。

たとえ、どんなにいい音を持っているベルでも、誰かに鳴らしてもらわないと、その音を響かせることはできない。誰かの力を借りて、音を鳴らしている僕たちみたいだなって。また、ベルには「幸せを呼ぶ」や「幸せの始まり」という意味もあり、手にとってくれた誰かにとって既に持っている幸せに気づくきっかけになったり、ちょっとでも「今日は頑張ろう」という気持ちが芽生えたら嬉しいなと思い、このタイトルにしました。



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