須田景凪が振り返る挑戦の1年、初めて語られる制作エピソード、大切な出会い

ーアルバムがリリースされた後の話題についていくつか聞いてたらもうと思うんですが、「ラブシック」のMVも公開されました。これも非常にコンセプチュアルで、「ダーリン」のMVも含めて、実写とアニメーションを融合するっていう作りになっている。このアイデアは、そもそもどういうところからだったんですか?





須田:遡るとちょっと昔になっちゃいますけど、今回の『Ghost Pop』っていうテーマを視覚的に表現するにはどうしようってところから、「ダーリン」とか顕著なんですけど、アボガド6さんのイラストと実写をミクスチャーするような見せ方をしてみたいなと思って。『Ghost Pop』のジャケットかもそうなってるんですけど、「ダーリン」と「ラブシック」でも、それをやってみようという一連の流れから生まれたビデオになってます。

ー「ラブシック」を作った時に映像のイメージみたいなのもあったりしましたか。

須田:いや、あまりなかったですね。それこそ、『Ghost Pop』ってアルバムを作るにあたって、「ラブシック」を最初に作ったんですよ。その後に、「ラブシック」って曲からアルバム全体が見えていくんだろうなと思って、「ダーリン」とかいろんな曲を書いていったんです。それこそ、「ダーリン」のMVを森本一平監督とアボカド6さんと一緒に作った後、「ラブシック」はこういうアプローチができるんじゃないかっていうのを、またアボカド6さんと森本さんと喋って、いろんな意見を出し合いながらみんなで作っていきました。

ー森本監督からは、どんなアイデアがあったんですか。

須田:そもそも森本さんは『Billow』ってアルバムに付随するツアーのライブ映像を撮ってくれていて。その流れもあって、僕がどういうものが好きとか、どういうものが美しいと思っているみたいなのは前から知ってくれていて。森本さんとすごく長く話して。その中で、お互いが好きな映画とかがすごく近くて。ちょっとギミックがある感じというか、ビデオもそういう風にしてみようかってところから一気に進んでいきましたね。



ーちなみに、その好きだった共通する映画って?

須田:1番僕が大好きなのは『メメント』っていう昔の映画なんですけどって言ったら、森本さんも「僕も人生で1番好きです」みたいな言ってくれて。それはめちゃくちゃ通ずるものがあるねっていうところから、いろんなアイディアをくれて。ここはちょっと難解すぎるかもねとか、ここは難解だからこそいいよねとか、何回でも見れるものにしようみたいな話をしながら、森本さんとビデオの一連の流れを話し合って決めて。逆にアボカド6さんは、後半の実写のところに、イラストの須田を入れたらおもろいんじゃない?みたいなアイデアをくれて。どんどん色々な意見を取り入れて、みんなで作っていったというか。

ー映像のストーリーは1回見ただけじゃ噛み砕けないところもあると思うんですが、いわゆるなかなか抜け出せない世界をループしていく。このアイデアって曲から来ているようなものなんでしょうか。

須田:漠然とこういう感じの曲なんですよねってお伝えしたら、森本さんが「須田さんが何回も死んじゃうのとかどうですか?」ってアイデアをくれて。あ、めちゃめちゃいいっすねってなったんです。森本さんが目に見えて大きいアイデアをくれましたね。

ー撮影を振り返って、シンプルに大変でしたか?

須田:もちろん大変だったんですけど、今まで実写で撮らせてもらったビデオって、もう少し雰囲気のある場所で歌ってますみたい映像が多いと思うんです。今回は、そういうビデオってよりも、あまり歌ってるシーンがなくて、ご飯を食べたり、歯を磨いたり、走ったり、今までやったことのない、録られたことのない映像だったので、普通に歯を磨いていていいのかな?みたいな(笑)。撮られるにあたって、どうしたらいいんだろうみたいな大変さはありましたけど、慣れないっていう感覚のほうが強かったですね。

ー仕上がったMVを見て、ご自身としてはどうでしたか。

須田:実写系の映像って全部そうなんですけど、順番通りに撮っていくわけじゃなくて、後半のこのブロックだけ撮りましょうみたいな感じでバラバラに撮っていくんですよ。だから撮られている側は想像のつかない部分が多いんですけど、出来上がった時に、森本さんが描いてるのはこういうことだったんだ、って初めて視覚的に見えて。その段階で、ここはもっとこうしたいですとかぶっちゃけなくて。最初から完成されていて、シンプルにすごいものになったなっていう感覚がありましたね。

Rolling Stone Japan 編集部

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