ノエル・ギャラガーが語る『Council Skies』誕生秘話、ツアーの展望、春にこだわる理由

Photo by Matt Crockett

 
今年12月に東名阪ジャパン・ツアーを開催するノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)。ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズとして通算4作目となる最新アルバム『Council Skies』の誕生秘話からツアーの展望、ソングライティング論や人生哲学まで大いに語った、ローリングストーン誌ドイツ版のカバーストーリーを完全翻訳でお届けする。

困難な時期を乗り越え、ノエル・ギャラガーが最高のソロアルバムを携えて帰ってきた。彼はさらに、とっておきの切り札まで隠し持っている。占星術と春の高揚感、沈んだ世界と新たな希望についての会話。あとは、あのうるさい弟さえいなければ......。

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ノエル・ギャラガーは、非常に揺るぎない存在として愛されている。どの写真も同じように見えるし、ロンドンにどれほど長く住んでもマンチェスター訛りのままで、1991年にオアシスを結成した頃の服が今でもよく似合う。彼自身がよく指摘するように、髪の毛もすべて健在だ。それなのに今、一貫性を極めてきたあのノエル・ギャラガーがいくつかの波乱に耐えている。

そのためだろうか、彼のマネージャーもこのインタビューに同席しているーー筆者がインタビューをきっかけにノエルと定期的に会うようになり、21年目にして初めてのことだ。「待ってたよ。どこにいるのかと思ったよ」とノエルが挨拶する。彼は、この刻々と変化する世の中で不変のものを心強く感じているようだ。彼は最新アルバムを紹介するために、ベルリンまで足を運んでくれた。コロナ禍で定番となったビデオ会議の連続に、心底うんざりしてきているのだ。何にせよ、ノエルは最近ピリついている。今年に入って、23年間連れ添った妻のサラ・マクドナルドと別れることを発表したが、それに関する質問は当然ながらNG。あとは、ノエルが弟・リアムの発言をどう思っているのか知りたかったのだが……リアムが先日、オアシスの再結成がまだうまくいっていないのはサラのせいだと示唆していたようなのだ。彼女はまるでスコットランドのオノ・ヨーコではないか! だが、オアシス再結成についての質問も控えるよう予め釘を刺された。


ノエルが表紙を飾ったローリングストーン誌ドイツ版(Photo by Matt Crockett)

デビュー・アルバム『Definitely Maybe』は来年で30周年を迎え、アニバーサリー・エディションが発売予定。ただそれだけのことである。オアシスとして18年間活動したノエルが2009年8月、「もうこのバンドとは永遠に縁を切る」と宣言したのは、やはり冗談ではなかったのだろう。あれ以来、彼は3枚のソロ・アルバムを制作してきた。『Noel Gallagher's High Flying Birds』(2011年)、『Chasing Yesterday』(2015年)、『Who Built the Moon?』(2017年)。そして今回、新たなアルバム『Council Skies』がめでたくリリースされたーーというのも、彼がこれほど魅力的なポップ・アンセムを書くのは久しぶりで、素晴らしく精密にアレンジされているのだ。何事もないかのように彼が元気そうなのは、傑作を作り出せたと自覚しているからだろう。「どの曲をとっても、シンプルににハイ・フライング・バーズの最強アルバムだ」。

今回のアルバム収録曲のうち3曲には、古くからの親友である元ザ・スミスのギタリスト、ジョニー・マーが参加している。ノエルは彼を必要とするとき、電話越しに曲を提案しようとするが、マーは事前に聴きたがらない。マーは、ただスタジオに入り、お茶を飲みながら、いろいろなことを試してみるのだ。このやり方でいつもうまくいく、とノエルは言う。「マーは俺の作品を気に入ってくれて、これまで一度もノーと言ったことがない。とても光栄なことだ」とノエルが語る。彼はマーを友人と呼ぶが、軽々しくそう呼ぶことはない。音楽業界では、マー以外でノエルの「友人」に値するのは、唯一ポール・ウェラーだけである。この二人は、ノエルが『Council Skies』を最初に聴かせた相手でもある。

「二人とも率直な意見を言ってくれる。特にウェラー。それが的を得ているときもあれば、そうでもないときもある。ミュージシャンは大抵、自分自身が聴きたいものを伝えるが、本当に親しい間柄になると、より複雑になる。俺なら、普段から作品の良いと思うところを中心に感想を伝える。否定的なことはまず言わない。だけど、ポール・ウェラーのやり方はまったく違う。そういえば彼も新しいアルバムを制作しているよね、たしか420枚目だっけ。ウェラーはすぐに「そんなのクソだ、やめとけ!」と言ってくる。ジョニーはもう少し控えめなんだ」。気がつけば、もう『Council Skies』誕生秘話の真っ只中にいる。

Translated by Jennifer Duermeier

 
 
 
 

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