EASTA & NAOtheLAIZAが語る、世代とビートとメロディの化学反応が生んだラップ作品

左からEASTA、NAOtheLAIZA

90年代後半から、メジャー/インディーを問わず硬質かつ良質なビートを提供し、柔軟な視線で数多のラッパーたちをプロデュースしてきたNAOtrhLAIZA。そして、話題のラップ・オーディション番組「ラップスタア誕生2021!」のファイナリストとして勝ち進み、愛すべきキャラクターと独創性でもって大きな注目を集めるようになった若きラッパーのEASTA。キャリアの差、そして世代の差がある両者がコラボ・アルバム『T.U.R.N』を発表した。目まぐるしく変化を遂げる日本語ラップシーンの中心にいつつ、異なる視点からのアイデアを交換し合って完成したアルバムは、ある種の正統性を保ちつつもエッジーな魅力がスパイスのように効いている。両者の出会いから、「やっぱり、ヒップホップはおもろいな」と言わせしめた充実の制作プロセスについてじっくりと話を聞いた。

―今回の『T.U.R.N.』は、両名で作ったコラボ・アルバムということで、2人の出会いから伺ってもいいですか?

NAOtheLAIZA もともとABEMA TV「ラップスタア誕生2021!」(以下、「ラップスタア」)でEASTAくんのことを知って、かっこいいなと思っていたんです。それで、去年の春ぐらいに「若い子と組んで、トータル・プロデュースをしてEPを作りたい」と思った時に、「EASTAとやってみよう」と思いついた。自分ももともと大阪で活動していたし、彼も奈良出身なので、バックグラウンドにも共通点があってすごくいいな、と。それで、僕の方から声を掛けました。

―NAOtheLAIZAさんといえば、これまでにも韻踏合組合、ANARCHY、般若、NORIKIYO……と、たくさんのラッパーを手掛けてきている。EASTAさんのどういったところに魅力を感じたのでしょうか?

NAOtheLAIZA 最近では珍しいタイプかと思うんですが、彼はラップもできるし、歌もできる。マルチというか、全体の総合力が高い。僕も、いろんなタイプのビートを作るので、2人で色んなことをトライしたら面白い作品ができるんじゃないかと思ったんです。EASTAの基礎体力の高さに関しては、「ラップスタア」の挑戦者の中でも一番高いなと思っていました。あとは、おもろいっていうことろも(笑)。かっこいいヤツはいっぱいいるんですけど、EASTAには、「おもろいな、コイツ」っていうところもある。

―EASTAさんは、最初にNAOtheLAIZAさんから連絡をもらって、どんな気持ちでしたか?

EASTA 嬉しい気持ちもありましたけど、もともと知っていたプロデューサーの方から連絡をもらって、驚きの方がデカかったですね。

―2021年末に放送された「ラップスタア」で、ファイナリストに残った。当時、そこからの自分のキャリアについても、具体的に描いていたのでしょうか?

EASTA キャリア関してはそこまで深く考えていなかったですね。今、目の前にあることをこなしていくというか。ナオさんから声を掛けてもらったタイミングは、「さあ、やっていこう」と思うと同時に、「どうしていったらエエんやろ?」とも思っていた時でもあったので、このオファーがすごく助けになりました。

―さっきも、「2人だったら面白いことができるのでは」と仰っていましたが、実際の制作のプロセスはどうでしたか?

NAOtheLAIZA 初めてのセッションは、お互い手探り状態でしたね。4曲分くらいのビートを作って持って、Loud Studioっていう大阪にあるEASTAのスタジオに行ってプリプロしてみたら、俺が想像していた感じにはならなかった。自分が思い描いていたビートのアプローチと違うな、と。だか改めて、「2人でやったらどんな感じなるか?」ということを話し合って、「EASTAの意見もしっかり取り入れつつ作った方がいいな」と、方向転換して行きました。

EASTA 初めてビートを聴いた時は、やっぱり「クオリティすげえ」と感じました。僕はスタジオに入ってから歌詞を書くタイプなんですけど、レコーディングしている時のナオさんの反応を見ながら「あ、これは全然あかんかったか……」とか判断しながら、悔しい思いもしつつ進めて行ったんです

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