BLUE ENCOUNTが語るバンドとしての命題、"前向きだけどせつない"最新曲

―そうなると、制作にかけてる時間はやはり長くなってますか?

田邊:長くなってますね。前までは1日に20曲くらいたくさん作って、メンバーに聴かせるみたいなことをやってたんですよ。いまは「自分がいま作らなくてはいけない曲」「作るべき曲」がなんとなく分かるようになったんです。ご一緒するタイアップ作品とか、ライブで感じたことを込めたいとか、どういう方向性にしたいかが見えてきたので、その部分だけをメンバーに聞いてもらうようになりました。今までだととにかく全部聞いてもらったりしていたんですけど、自分のなかで作りたいものが明確になったからこそ、そこに力をより注げるようになったなと思います。

―江口さんや高村さんは、今までと楽曲制作のアプローチやプロセスなどが変わったことで、自分の演奏が変化した部分はありますか?

江口:自分は昔から与えられた時間ギリギリまで使わないとアイデアが出てこないタイプなので、個人的にはそこまで変化はないですね。田邊が聴かせてくれるデモ音源は、昔に比べればしっかりまとまってるものが多くなりました。リスナー視点で言えば昔みたいにバラバラな曲をたくさん作ってくれるのも嬉しくて、同じようなタイプのデモばかり聞くと飽きてしまう部分があったり、違った曲があるとそれぞれ違って聞こえる部分もあるので、悪い話しではないんだよと伝えたいですね。

田邊:そうなんだ、オッケーオッケー。じゃあもう作り方は元に戻しますね(笑)。

(全員大笑い)

高村:みんな以前よりも個人でもやれることが多くなって、選択肢がいっぱいあるんです。なので、「この曲とこの曲、8割くらい一緒じゃない?」と思える曲でも、僕にとっては全然違う曲になる芽がみえていて、デモ音源や選択肢を絞ったなかで作業を進めていったほうが、よりいい曲が作れるんじゃないかな?と感じることが多いんです。この方向性をやりつづければ、どんな曲がきても「こうだ!」とアンサーを出せるようになると思うし、近道になるんじゃないかなと。

田邊:なるほどね。いやぁ、バンドはむずかしいなぁ~(笑)!

―辻村さんがアメリカに行かれたあとはどのようにコミュニケーションをとってますか?

田邊:じつは一昨年くらいから各メンバーともに遠隔で作業をすることが多いので、彼からは演奏フレーズなどを送ってもらって制作はしてます。なので「アメリカに行ったから密にコミュニケーションをとろう!」という感じではなく、「制作スケジュールこうなってるけどどうする?」から始まり、彼の意見を吸い上げつつやってます。出会ってかれこれ16年くらいなので、「いまそっちの天気どう……?」みたいなことをいまさら毎日聞くのもちょっと違うじゃないですか(笑)。

江口:一時期辻村がまだ日本にいたころ、「最近なにが好き?」みたいなのを教え合うみたいなモードにしようってことあったよね? 高村と辻村はそういうのを都度都度やりあえるんですけど、ぼくと田邊はそういうのが出来ないタイプなんですよ(笑)。

田邊:そういえば、今回MVの収録をしにいったとき、辻村に「これ最近好きなんだよね」って話しをしたら、彼も同じものが好きでしたね。なので「あ、良かった。じゃあ変に話すのはやめよう」と思って、本当は長めのミーティングをする予定だったところを、短めのミーティングで終えたくらいなんです。4人ともバックグラウンドは違いますけど、好きになるものはやっぱり一緒なんだなと思いました。

Rolling Stone Japan 編集部

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