BLUE ENCOUNTが語るバンドとしての命題、"前向きだけどせつない"最新曲

―今回MVで辻村さんに会いに行くという内容になりましたが、どういった経緯でこのMVを撮影することに?

田邊:ニュージャージー州のアニメイベントに出演してライブをすることになったので、「だったらアメリカで撮影しないか?」となったのがキッカケでした。「いいねいいね!やろう!」となったは良いものの、内容どうしようか?と意見を出し合った結果、「辻村に会いにいく」「スタジオに入って4人で音を出してみる」という内容になったんです。実はこのライブイベントでは辻村が参加できないということも決まっていて、彼と一緒に何かするという点でもいい案になってよかったと思います。

―ドキュメンタリーになっているシーンと台本を基に撮影しているシーン、色々混ざっているなと思いました。

田邊:MVのなかに現地の子供とハイタッチしているシーンがあると思うんですけど、あれはカットがかかった後の待ち時間に、撮影をずっと見ていた親子連れがいまして、その子が意を決してこっちにやってきたときのカットですね。監督さんがそういうオフカットもすごく撮影してくださってて、そこも随所に使われてますね。



―さきほども話しにあがりましたが、アメリカでは『Anime Next』というアニメイベントに出演されました。日本の雰囲気との違いをふくめて、実際に出てみてどのように感じましたか?

高村:やっぱり熱狂的でしたね。声援というか叫びに近い声が地鳴りのように響いてて、ジャンプをしていても「そんなジャンプする?」ってくらい本気で飛び跳ねてるんですよ。人それぞれの楽しみ方を思う存分している、「ウソの無い気持ち」みたいなのが伝わってきましたね。

江口:僕はまず、こんなにたくさんの人が聴きに来てくれるのかという驚きが大きかったですね。最初は100人くらいなのかなと思ってたんですよ。

高村:そうそう。会場には当初席が用意されていて、「まぁこれくらいだよな」という風に僕らも感じてたんです。ただ、開演時間になってもスタッフさんが呼びに来ないのでどうしたんだろう?と思ったら、「お客さんがあまりにも居すぎて全員入らない。30分待ってもらえないか?」と慌てて僕らに声をかけにきたんです。30分ほど押してステージに出ていったら、観客がオールスタンディング状態で待ってたんですよ。

江口:約1200人くらいが集まってくれていて、「こんなにいるんだ!?」という驚きがデカかったですね。そんな状況で、先ほども話しましたけどお客さんのリアクションが一つ一つ大きくて、それが塊となって飛んでくると地鳴りみたいになってきました。

田邊:いただいた尺が90分ほどだったんですけど、アニソンを中心にしたセットリストではさすがに時間が足りなかったんです。そこでタイアップ楽曲じゃない曲もやろうとなって、日本でもまだライブ演奏していなかったシングル曲「有罪布告」とアルバム曲の「...FEEL?」の2曲をやろうとなったんです。さすがにアメリカのアニメファンも僕らのオリジナル曲までは知らないだろうし、「どれだけ棒立ちになるだろうか」と思ってたんですけど、かなり反応が良かったんです。僕はてっきり、「アニソン」という知っているものに対して大きなリアクションを飛ばしているんだと思ってた。でも、実はそうじゃない。本当に良いものに対して、良いとリアクションをしてくれているんだなと分かったんです。なので、「最後までしっかりやらないとアメリカの人たちをファンにできないぞ」とかなりの使命感に駆られましたね。そのおかげで、日本では気づけなかった強みや改善点が瞬時に分かって、とても実りが多かったライブにもなりました。

―アニメの主題歌やタイアップ楽曲の影響は非常に強いとは思いますが、BLUE ENCOUNTというバンドを想像以上の場所へといざなっている感触はありますか?

田邊:ライブを終えた後にサイン会を開催したんです。めちゃくちゃファンの人が残ってくれたんですが、アニメイベントということもあってかかなりの方がコスプレをしてくれて、拙いながらも日本語を使って話しかけてくれたりしたんです。たぶん、僕らが普通にやってきてライブをするだけじゃこんな光景は生まれないわけで、アニメというものがこの人たちの人生になってるんだなと分かりました。クオリティ高いコスプレをしているファンの方がたくさんいて、「この子、家でどんな子なんだろう?」とか日本では中々そう思わなかったことも頭をよぎりましたね。自分たちが頑張って作った曲の先に、他の人の人生が確実に乗っかっているということ。それが、こうしたアニメ関係のお仕事で知ることができた大切なことだと思ってます。「アニメのおかげでここまで来れた」ではなく、「こんな奴らの音楽を聞きに来てくれてありがとう」の気持ちで、彼らと握手していました。

Rolling Stone Japan 編集部

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