BLUE ENCOUNTが語るバンドとしての命題、"前向きだけどせつない"最新曲

―今回のシングル「アマリリス」は、あだち充さんの漫画『MIX』を原作にした『MIX MEISEI STORY 〜二度目の夏、空の向こうへ〜』に起用されています。どういった流れで制作が進んでいきましたか?

田邊:僕はタイアップのお話をお受けさせてもらったときは、基本的に原作を深くまで読み込まないようにしています。くわえて物語には大事なメッセージやテーマがあると思うので、それを自分のなかで読み解こうと思っています。

―読み込むのではなく、読み解くんですね。

田邊:そうですね。自分から見たこの作品はどんな景色になるかを書き出して、そこからわーっと曲を作り、歌詞も仮でつけて、作ったデモ音源をメンバーに色々聴かせていく感じで作っていきます。今までも同じような流れで作ってきました。作品の背景や登場人物1人1人に入りこみすぎず、俯瞰からみたテーマ性を大事にして、作品を好きなみんなに聞いてもらうにはどうすればいいか?と考えて作ってます。今回の『MIX』に関して言えば、主人公の周りを取り巻く仲間や家族の存在があるから、2人は夢を追いかけることができる物語だと思ったので、そちらにフォーカスを置いて楽曲を作っていました。

江口:ぼくはそもそもあだち充さんのファンで、人生の中でも一番好きなマンガが『H2』なんです。こうして『MIX』の楽曲を担当させてもらって非常に嬉しいですね。夏×青春×スポーツという題材を描かれるのが非常にうまいので、この曲もかなり意識しました。

田邊:身近なところにあだち先生のファンがいたので、今回は江口からかなり勉強させてもらいました。

―歌が終わったあとのアウトロのキラキラ感がとても印象的ですね。

田邊:あそこ、僕自身めちゃくちゃ好きで、完成したやつを聴いたときに「ここだけで泣けそうだな」と思えちゃったんですよ。今回大事にしたのは、"前向きだけどせつない"というところで、そこを何とか具現化したくて頑張ったんですけど、今回はすごく欲しいところに手が届いた!と思えるフレーズでしたね。じつはプロデューサーさんとこの部分に関して色々と話し合いをしていて、このバージョンではない別バージョンをおススメされたんですよ。でも「いや、これ以外にするなら拗ねて帰ります」みたいなやりとりをするくらい僕が突っぱねて、色々と対話をして折衷案となったのが、いまのアウトロのフレーズですね。

―一方で「ghosted」ですが、こちらはどういった着想から制作されたんでしょうか?

田邊:渡米するタイミングでカップリングの曲をいれようという話しをしていて、ニュージャージーでのイベント出演を終えて、ニューヨークを散策しているときにちょうどアイデアが湧いてきたんです。実はニューヨークに滞在しているだけでも4~5曲くらいアイデアが浮かんでて、それを1つ1つをデモ音源にして、メンバーに聴かせて一番反応が良かったのが「ghosted」になりました。元々ポップパンクも大好きで、最近中々やってなかった曲の作り方ができたと思います。一癖あるメロディだけども、歌詞を入れてみるとJ-POPっぽいところもあったり、不思議な曲になったなと思いました。

江口:最初にデモを聴いたときは他の曲を個人的には推していたんですけど、メンバーやスタッフさん含めて「ghosted」に投票していて、そのあと作業していくうちに好きになっていった曲ですね。

―合議制や投票で決めても、どうしても違和感は残るものですよね。

田邊:ぜんぜんありますよ。皆が選んでいるけど、僕が選んでなくて、「これホントにシングルにする?」みたいなことになったりとか(笑)。

江口:多数決で決めたものは、とりあえずプリプロまで進めちゃおうというのが暗黙のルールなんですよ。今回もそれに従って進めたら、意外と良かったなと僕が気付いたパターンですね。

田邊:最後の最後までテンポをどうするか迷ってましたね。実際に歌ってみて速すぎると思ったので調整しました。めちゃくちゃテイクを重ねて録って、その都度聞いて自分で判断をしてというのは、久々にやりましたね。

―武道館公演あり、アメリカでのライブもあり、シングル制作もありと様々お聞きしましたが、BLUE ENCOUNTの今後の活動で思い描いていることはなんでしょうか?

田邊:今年はいろいろな制作が激化している1年なんですけど、2年前に『Q.E.D』でアルバムツアーをしたときは、ライブハウスでライブをしても元気がほとんどなくて、「来てくれてありがとう!」というだけで、本当に閑古鳥が鳴いている状態だったので、全国にライブツアーを回って色々と見ていきたいですね。あと、みんなで集まって来年について話すタイミングが最近あったんですが、「アメリカにすぐにでも行きたい」「向こうのライブハウスで何回かできないか?」という話題も上がってます。日本でもアメリカでも、いまはどういう活力で街やライブハウスが回っているのかを、僕らがもう一回垣間見ることで何か生まれるものがあるんじゃないのかなと思ってます。「いま人生における最高なものを作っていく」というのがいまは僕らの命題になっているので、よりインプットの多い1年になるとは思います。じつは2024年は結成20周年、メジャーデビュー10周年になるんですが、「10周年だから祝ってよ!イエーイ!」という感じではなく、10周年だからこそ「次に向けてのパワーアップ」にしたいですね。



<リリース情報>

BLUE ENCOUNT
「アマリリス」
配信中
https://BLUEENCOUNT.lnk.to/amaryllis



▪︎初回生産限定盤(CD+DVD)
価格:¥1800(税込)
品番:SECL-2916〜17
※アニメ絵柄ワイドキャップステッカー付き
-CD-
1. アマリリス
2. ghosted
3. アマリリス(Instrumental)
4. アマリリス(TV size)
-DVD-
1. アマリリス -Music Video-
2. 「MIX MEISEI STORY 〜二度目の夏、空の向こうへ〜」 Opening Non-Credit Movie
3. ブル散歩 -ニュージャージー編-



▪︎通常盤
価格:¥1200(税込)
品番:SECL-2918
-CD-
1. アマリリス
2. ghosted

Official HP:https://blueencount.jp/

Rolling Stone Japan 編集部

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE