ジグザグが語る「最高」なアルバム、売れるためから真逆になった考え方

ー以前取材させていただいたとき、コロナ禍で時間ができて、いろいろ制作を進めていたことがジグザグの転機になったとおっしゃっていましたよね。楽曲制作においても転機になった時期だったんでしょうか。

命:ガラッと方向性も変わったし、よりやりたいことをやるようになった時期になりましたね。前は売れたい気持ちと、お客さんを楽しませたい気持ちの2つの観点でやっていた部分があったんですけど、自分がいいと思うものを提供することをベースに、その上でプラスアルファとして考えるスタイルに変わったんです。前まではそれが逆だったというか。売れるためにはどうしたらいいのかというのがスタートで、ある種、商品の開発じゃないですけどマーケティング的なものがメインだった。いまは逆に、アーティスト的な活動の仕方に変わったというか。自分がやりたいかっこいいと思うもの、楽しいと思うものを作り出して、その上でどうしたらたくさんの人に聴いてもらえるだろうみたいな話になるので、そこが逆転したのはありますね。

ーそういう意味で言うと、本作1曲目「おっかちゃん」はどこに位置する曲なんでしょう。



命:これは悪ふざけです(笑)。昔から意味わからんものが好きで。前世の話なんですけど、中学生ぐらいのときから友だちとフォークデュオのグループでCD-Rのアルバムを作ったりしていたんです。あらためてその頃のCDを聴くと、今とやっていることが一緒で、なんでこれ入れたん?みたいなのが入ってて(笑)。「何秒以内にこのCDを止めないと爆発します、5、4……」みたいなのが入ってたり、「おっかちゃん」と通ずるなあって(笑)。

ー「おっかさん」じゃなく、「おっかちゃん」にした理由はあるんですか?

命:おかあさんとかおふくろとかもいいんでしょうけど、これはなんなんだ?っていうのがより増すかなって。パッと文字だけ見たときに、「岡本さんなのか何なんやろ、これ?」をより高めたかったのもあって「おっかちゃん」にしています。でも結構感動してくれてる人もいらっしゃって。影丸も、ちょうど大阪から東京に仕事で来るときにね。

影丸:そうなんですよ! 新大阪で新幹線を待っているとき、シャッフルで音楽を聴いていたんですけど、たまたま新幹線が来たタイミングで流れて、頑張るぞー!ってなったんです(笑)。これから何かを頑張る人への応援ソングです。




ーそういう意味でいくと「どんぐり」も、同じような意味合いの楽曲でしょうか。

命:「どんぐり」は中2のときに作った曲で、中学校のベランダでギターを掻き鳴らしながら友だちと歌っていて。詳しくは覚えてないんですけど、気づいたらできていました。

ー歌詞もそのときに書いたもの?

命:歌詞もそのまま勢いで書いたやつです。「わしが~どんぐりで~わっはっは~」って。

ー童話的な歌詞なので、何か教訓があるのかと思って。

命:ないですね。

ー(笑)。龍矢さんと影丸さん的に、これは命様らしい部分だと思われますか?

龍矢:一番命さんっぽいです。よくわからんことを歌い出すっていう。

命:よう歌ってたよな、鼻歌でな。

龍矢:楽屋でずっと歌ってはったんですよ。僕はそういう「どんぐり」って曲があるんやと思っていて、「それなんの曲なんですか?」って訊いたら、「今度出そうと思ってるねん」って。あ、オリジナルやったんや……っていう衝撃がありました(笑)。

影丸:それを真剣に歌う命さんがおもしろくて(笑)。内容は悲しいですし。

ーCDに収録されている座談会で、もう1個違う曲があるって話してましたが。

命:あー! 「ネギ」。ちょっと古いロックンロールをベースに「シェキネギ」みたいな。シャキシャキのネギと、英語の「Shike It Shake It」をかけていて。「Shike It Shake It Naked」ビートルズっぽい感じの曲ですね、それはまたどこかで披露します。

Rolling Stone Japan 編集部

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