BTSのVが語る、ソロアルバム『Layover』発表までの道のりとメンバーたちの支え、ジャズからの影響

9月8日にソロデビューアルバム『Layover』をリリースしたBTSのVが、ジャズにインスパイアされたサウンドの探究と人生の目的地について本誌に語った。(©BIGHIT MUSIC)

いまさら言うまでもないことだが、10年にわたってBTSのメンバーとして活動してきたVは、K-POPアーティストとして不動の地位を築いた。それだけでなく、2016年には韓国ドラマ『花郎(ファラン)』に出演し、俳優としても高く評価された。また、シンガーソングライターとしての顔も持つ。各方面で実力を発揮するVだが、自分が探している答えはまだ見つからないと語る表情は朗らかだ。

【画像】写真で見る「BTSの名曲100選」

ミュージシャンであり、俳優でもある27歳のV(本名:キム・テヒョン)は、過去3年の間にひたすら曲を書き、完成した曲をたまに行うライブ配信でファンに披露しては、また最初から書き直す、というプロセスを繰り返してきた。そうすることでソロデビューアルバムにふさわしい方向性を模索していたのだ。そして9月8日、Vのソロデビューを飾るアルバム『Layover』がリリースされた。



アルバム制作当時、Vは自身の広義のキャリアについて考えていた。それは、BTSのアイデンティティが大きく変化した時期でもあった。2020年にシングル「Dynamite」を、2021年にシングル「Butter」をリリースしたBTSは、世界的名声を欲しいままにしていた。だが、2022年にはそれぞれのメンバーがソロ活動にフォーカスする方向にシフトした。当時、多様なジャンルの音楽を聴き、さまざまな作曲スタイルを模索していたVは、最終目的地に向かってがむしゃらに進むことは、必ずしも自分が望んでいることではないと悟った。道草をしたり、新しい可能性を見つけたりしながら道中を楽しむ——自分はそういうタイプの人間だということに気づいたのだ。

「目的地に直行するのではなく、どこかで足を止めてしばらくそこにとどまったり、乗り換えたり、次の便を待ったり……(訳注:ソロデビューアルバムのタイトルにもなっている「レイオーバー」という言葉には、待ち時間や中断という意味がある)仮に、私の人生がどこかに向かっていたとしても、そこにまっすぐ向かうようなことはないと思ったんです」と、酷暑のソウルでVは通訳を介して本誌に語った。

BTSのメンバーがひとり、またひとりとソロ作品をリリースするのを見ながら、Vはやがて自分の順番が回ってくることを覚悟していた。ゆっくりではあったが、後に『Layover』としてリリースされるアルバムの楽曲の歌詞を磨き上げていった。そこには、ゆったりとしたR&Bとソウルの影響が感じられるポップスの間を行ったり来たりしながら、憧れや悲しみ、切望といった感情の重なりを楽しむVがいた。また、雨の日や青みがかった夜空のイメージを取り入れることで、日々の生活においてふと考え込むような瞬間を描き出した。要するにVは、自分が思い描いた雰囲気を見事に表現したのだ。TikTok時代を生きるアーティストにとって、これは不可欠なスキルだ。

Translated by Shoko Natori

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE