BTSのJIMINが語る、ソロアルバム『FACE』制作秘話とメンバーの支え

JIMIN(Courtesy of BIGHIT MUSIC)

BTSのJIMINがソロアルバム『FACE』について語った、米ローリングストーン誌の最新インタビュー。制作過程で他のメンバーがどれだけ支えになったかも明らかに。

当の本人が決意する前から、BTSのメンバーはJIMINがソロデビューアルバム一番乗りだろうと確信していた。

去年の春、BTSはラスベガスでスタジアムツアー『Permission to Dance on Stage』の最終公演を行っていた。公演の合間、JIMINは兄弟同然のメンバーと飲みながら、パンデミック中に自信を喪失していたことを打ち明けた。彼はこの時、この夏に結成10周年を迎える仲間から必要としていた勇気をもらい、ソロプロジェクトに踏み出す準備が整ったと感じた。

「『なぜ自分はこんな生活をしているのか? 自分は今、何をしているのか?』とずっと考えていました」 早春の朝、ソウル市内にあるHYBEの事務所で、JIMINは通訳を介してローリングストーン誌に語った。メンバーは、自分たちも同じような悩みを募らせていたと言って彼を元気づけた。音楽で自分を表現すれば前に一歩踏み出せるかもしれないと、メンバーは提案した。

そして今、釜山出身の27歳は全6曲のアルバム『FACE』をひっさげて、ソロとしてポップスター街道を歩み始めた。激しくハードな曲から甘く洗練された曲まで、多種多様なサウンドが詰まったソロプロジェクトで、JIMINはアーティストとしての自分や人生に抱いてきた矛盾する感情を描き出す。16歳でBig Hit Entertainmentに加入した当初は歌が専門ではなかったが、すっかりK-POPを代表するシンガーへと成長した。甘く、かすかにエッジを効かせながら、ふわりと漂う煙のごとく母音を響かせる。このように微妙にメリハリをつけながら、メランコリックなR&Bソング「Alone」では寂寥とした孤独感を歌いあげ、かと思えば「Set Me Free Pt.2」では打って変わって激しい怒りをぶちまける。ホーンが炸裂する荒々しいこのヒップホップ・ソングで、彼は歯を食いしばるかのように歌いながら、“どんなに傷つこうとも、逃げたりしない”と新たな時代の到来を告げている。

ソロプロジェクトはBTS時代のJIMINから大きく進化している。BTSでは、2016年の「Lie」やラテンポップに触発された官能的な「Filter」のように、情感たっぷりのR&Bに傾倒していた。2018年にはソロデビューシングル「Promise」で、アコースティック・シンガーソングライターとしての一面ものぞかせた(この曲は長らくSoundCloudでしか聞けなかったが、最近になってようやく正式にリリースされた)。最新作『FACE』の楽曲では、モダンダンスと武道で培った力強くも流れるようなスタイルで、ダンスに長けた彼らしい入念に仕込んだパフォーマンスを用意している(彼の才能を存分に堪能したければ、2019年のメロンミュージックアワードで話題になった「I Need U」のコンテンポラリーダンスをご覧あれ。風に息が吹き込まれたかのように、さりげなくターンやスピンを決めている。2020年の「Black Swan」で観客の目を釘付けにしたパフォーマンスも必見)。憧れの存在だったBIG BANG・テヤンの官能的なスタイルを模倣していた少年時代から長い道のりを経て、今年1月にはK-POP大先輩の待望のソロトラック「Vibe」にゲスト出演し、JIMINはひとつの区切りを迎えた。



英語と韓国語で同時リリースされたアルバムのリードシングル「Like Crazy」で、JIMINは複雑に折り重なる感情を深く掘り下げている。ヒントになったのは、ドレイク・ドレマス監督が手がけた2011年の同名映画(邦題『今日、キミに会えたら』)だった。作中で描かれる、ビザの問題で一筋縄ではいかない英国人女性とアメリカ人男性の情熱的なロマンスをベースに、JIMINはとらえどころのない感情をダンスで表現しようとした。パフォーマンスを楽しみにしていると告げると、根っからの完璧主義な彼はたった一言、「がんばります」と答えた。

Translated by Akiko Kato

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